教育福島0141号(1989年(H01)09月)-008page
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特集1
進路指導の充実
−中学校−
義務教育課
解説
新中学校学習指導要領の改訂の基本方針では、青年期における人間の在り方や生き方に関する教育が重視され、中学校における進路指導の充実が示されている。
また、新中学校学習指導要領の総則にも「生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう学校の教育活動全体を通じ、計画的、組織的な進路指導を行うこと」と示されている。
現在、中学校における進路指導に関しては、次のような課題や問題点が指摘されている。
ア.高校進学率が高まるにつれ、進路指導が進学指導中心になりがちであり、個々の生徒の優れた一面を見失いがちである。
イ.生徒の進路選択における主体性の欠如や、高校生活及び将来の職業を見通した進路選択が見受けられない面がある。
ウ.単なる就職紹介や上級学校への進学指導等を集中的に行う傾向が見られる。
エ.中学校と高等学校及び、学校と家庭、進路指導部と各学年の連携の強化と、効果的な情報収集の在り方を工夫する必要がある。
オ.生徒一人一人の個性、資質を重視した指導の工夫が望まれる。
従って、生徒の将来における生き方の指導や人生観、職業観などに立脚した自己実現のための進路選択、決定への援助指導を一層充実する必要がある。
こうした点を踏まえて、県教育委員会では、中学校における進路指導の努カ点として次の三項目を設定し、一人一人の生徒が自分の個性に応じて進路を選択し、その実現が図られるようにしている。
一、進路指導についての共通理解を深め、指導体制を確立する。
二、地域や学校及び生徒の実態に即して指導計画を改善し、指導の充実を図る。
三、家庭や地域社会、関係諸機関との連携を一層強化する。
具体的な働きかけとしては、昭和六十一年七月十一日付で「適性な進路指導の推進について」の通知を行う一方、例年「教育福島」九月号に「進路指導の充実」を掲載するなど、資料や情報の提供に努めている。また、中・高一貫した進路指導の充実を期するため、各管内ごとに進路指導講座を開設する等により、各中学校に対して進路指導について深い理解と一層の努力を要望している。
本来、進路指導は、変動する社会の中にあって自己を正しく生かすことができるよう、進路についてのしっかりした考え方を自覚させる指導であり、将来の生活における生き方の援助指導である。
そのため生徒一人一人の能力や適性を的確に把握し、将来の進路を計画し、選択する能力を育てることが最も重要な内容となる。
従って、進路指導を進めるに当たっては、中学校の三年間を見通して学級指導の授業を中核としながら学校教育全体を通じて計画的・組織的に援助指導を行うことが大切である。
以下、中学校における進路指導の望ましい在り方を求めて、自校の問題点や課題解決のため全校挙げて研究に取り組んでいる中学校の実践例を紹介する。
いわき市立平第二中学校は、昭和六十三年度、平成元年度の二か年にわたり県教育委員会の研究指定を受け、進路指導の改善・充実を目指し、大きな成果をあげつつある。
この学校は、学校の教育活動全体を通して、組織的・計画的に進路指導を推進するとともに、生徒一人一人に目を向け、特に学級指導において生徒の自己理解を深めさせ、発達段階に応じた望ましい進路指導の在り方を追求している。なお、研究の成果は、十一月二日(木)に発表される予定である。
各中学校においては、進路指導の今日的課題を正しく理解し、平第二中学校の研究の成果を参考にしながら自校の進路指導の在り方を見直し、その改善・充実に一層の努力を期待するものである。
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