教育福島0141号(1989年(H01)09月)-032page
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本号では、以下に昭和五十六年度・五十七年度文部省の指定を受けて以来九年間も積極的に交流教育を実践しているいわき市立草野小学校と県立聾学校平分校との交流教育及び、昭和六十三年度県教育委員会の指定校、県立須賀川養護学校と須賀川市立仁井田中学校との交流教育の実例について紹介します。
−研究実践−
みんな友だちなんだ’
−県立聾学校平分校との交流教育九年目を迎えて−
いわき市立草野小学校
一、はじめに
昭和五十六年度から二年間、文部省より「心身障害児理解推進校」として指定を受け、約一キロメートル離れた県立聾学校平分校一本校学区内一との交流教育を模索した。試行錯誤を続けながらの二年間の指定研究であった。
しかし、指定研究終了時には、両校の教師たちの間に、この交流教育の重要さが確認され、「指定研究は終わったけれど、本当の交流教育は、これからなんだ」という意識が高まったのである。
交流を継続していくためにはどうしたらよいか。お互いに知恵を出し合い、協議を重ねた結果、子どもたちのためになる 無理のない 無駄のない教育活動を展開していこうと確認し合った。その後交流活動は途切れることなく今日に至っており、九年目を迎えている。
交流の実践に当たっては、例年通りといった安易な妥協はマンネリ化を生むことから、毎年、内容や方法について、新たなアイディアを出し合い、改善に努めている。本年度も四月に、両校の連絡協議会をもち、交流活動を展開している。
昭和五十八年八月号本紙で、両校の交流活動のあらましを紹介させていただいたので、今回は、交流教育に対する基本的な考え、推進上の留意点、実践活動の事例について述べてみたい(
二、交流教育の実践
(1) 交流教育のねらい
−−生き生きとした 人間性豊かな草野の子どもを育てる−−
1) よりよい生活への意欲をうながす
これまでにない新たな経験と広い視野から現在の自分の生活を見直し、反省的に生活する契機とする。
2) 健全な人生観の形成をうながす
この社会には、いろいろな人たちが励まし合い、助け合って、人間らしく生きようとしていることを知り、共に生きようとする考えを育てる。
3) 思いやりの心の育成をうながす
交流の体験から連帯感をはぐくみ、この社会を自分たち共同のものとして大切にする心を養う契機とする。
(2) 交流教育推進の留意点
児童や学校の実態を考慮した具体的な検討のもとに、周到な準備、事前協議をもち、継続的に実践を進める。
1) 交流教育の意義や児童の指導について共通理解を深め、一貫した指導を進めるとともに、お互いに交流してよかったといわれる交流活動を実践する。
2) 心身の障害の状態や程度、能力に応じた計画とし、弾力的に運営する。
3) 交流活動が児童にとって充実したものとなるよう、効果的な交流の場と方法、形態の工夫、指導体制の改善など、これまでの実践の成果を踏まえて計画、実施する。
4) 永続生のある実践の在り方について十分検討し、−無理のない自然な姿で交流できるよう留意する。
5) 個人差の大きい障害児一人一人の生格、特性、集団適応能力などを的確に把握し、適切な配慮を加えながら実施していく。
(3) 交流教育の構想
平成元年二月、連絡協議会で年度の反省をし、−それを基にして、平成元年度の交流計画を立案、次の活動を両校の教育課程へ位置付けた。(表1)
(4) 交流校とのかかわり
1) 交流教育連絡協議会を組織し、交流活動の連絡調整を図っていく。
2) 両校の教育課程への位置付けのため、前年度末に協議の上計画を立てる。
両校のミニ紹介
◇いわき市立草野小学校
▼いわき市平下神谷宿25
電話〇二四六(三四)七三二三
▼児童数六百六十六▼二十二学級、常磐線草野駅より徒歩三分。純農村地区より近郊住宅地へ変容しつつある。
校庭に樹齢四蒼年の「大志の松」がそびえ学校のシンボルとなつている。絹谷分校(児童数三十九名)を有する。
◇福島県立聾学校平分校
▼いわき前平馬目字馬目崎61 電話〇二四六(三四)二=〇二
▼児童数七▼四学級
明治三十九年磐城訓盲院として開設。昭和三十三年現在地に移転。五十年度より聾部のみの学校となる。
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