教育福島0141号(1989年(H01)09月)-035page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

ことがあげられる。また、両校の教師が同一の目標に向かい、共通理解を十分に図りながら指導に当たってきたことも見逃すことはできない。

交流は空気のようなものであるといわれている。耳が不自由で学校は違っていても自分たちと同じ仲間なんだ。障害という個人差を正しく理解して共に成長していこうという姿勢のもとに何か特別なことをしてあげるという考え方ではなく、何事にも一緒に、誰とでも協力していけることが自然に態度に表れるようにすることが大切である。

交流を通して、仲間意識や良い意味でのライバル意識、思いやりのある行動が増えてきている草野小のきょうこの頃である。

 

−実践報告−

 

心の交流を求めて

 

−少年自然の家での合同活動−

県立須賀川養護学校

 

心身障害児と健常者とが共同の生活体験を重ねることにより、健常児には障害児に対する正しい理解と認識を高めさせ、障害児には、積極的に社会に参加する態度の育成をめざすとともに連帯意識等心の交流を深める。また、地域指導者の協力を得て幅広い生活体験をさせるとともに地域社会の養護教育に対する理解を深め地域との交流を推進する。これらのことを趣旨として、昭和六十三年度養護教育交流推進事業が、県立須賀川養護学校中学部の生徒と須賀川市立仁井田中学校二年生を対象として実施されました。

以下、その交流教育の概要と福島県会津少年自然の家で行われた合同野外活動について報告します。

 

一、学校紹介

 

○県立須賀川養護学校

須賀川市の東側に芦田塚団地がありそこの一角に二階建ての校舎が建っています。隣接して国立療養所福島病院があります。病弱・身体虚弱等のため長期療養または養護を要する子どもたちを対象とし、昭和四十八年に開校した病弱養護学校です。

現在小学部・中学部・高学部に分かれ、七十九名の児童生徒が在籍しています。校舎内では、気管支喘息、腎臓疾患(腎炎、ネフローゼ症候群など)、心臓疾患などの病気をもつ児童生徒が学んでいます。病状が良くなれば退院して通学あるいは前籍校に戻ります。

また、病院に併設される、重症心身障害児施設「わかくさ病棟」があり、障害の重い子どもたちが学習しています。

○ 須賀川市立仁井中学校

JR須賀川駅から車で約十五分、須賀川市の西北に位置し、郡山市と接する農村を学区とする学校です。生徒数は百二十名であり、交流教育の対象となった二年生の在籍数は、四十七名でした。

学区は六部落からなり、それぞれの部落は米作を中心とし、りんごや梨などの果樹やきゅうりなどの野菜も出荷している農家が多い地域です。

生徒は、こうした学区内の環境の中で育っており、純朴で学習意欲の強いのが、この学校の特色です。

 

二、交流教育の概要

 

(1) 事前交流

1) 第一回(九月二十一日)

仁井田中の体育館で簡単な対面式を行いました。その後で、合同野外活動で実施される野外炊飯の班編成と、それぞれの係の分担を、自己紹介を交えながら楽しく行いました。

事前に各学校で班編成をしていたので活動がスムーズにいき、和やかな雰囲気で進行しました。少しずつ違和感がなくなってきたようでした。

2) 第二回(十月五日)

二回目の交流は須賀川養護学校の体育館で行いました。主な活動のねらいは、合同野外活動での食事、部屋、活動時の班編成をし、一人一人の役割分担を明確にさせることにありました。

交流も二回目なので、活動内容が少しずつ明らかになることにより、合同野外活動に対する意欲が高まったようでした。

また、キャンプファイヤーでの各班の出し物なども相談され、一緒に活動する基盤ができてきました。

(2) 合同野外活動

十月十三日、十四日の二日間、この交流推進事業の中心である合同野外活動が、会津坂下町にある福島県会津少年自然の家で実施されました。

須賀川からは、各学校で大型バス一台を使い、途中、猪苗代湖畔の志田浜で合流しながら、約二時間半で、大自然に恵まれた自然の家に着きました。

雨天のため計画を大幅に変更せざる

 

合同活動にそなえて第一回の事前交流(仁井田中にて)

合同活動にそなえて第一回の事前交流(仁井田中にて)

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。