教育福島0141号(1989年(H01)09月)-037page

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てもらったので、体を動かしたいという気持ちはあったようですが、良い作品を作り上げ、おみやげができたと満足そうでした。

 

7) 自然の家退所と別れの会

退所の集いでは、自然の家の所長さんから、「野外活動での貴重な体験を今後の人生に生かして下さい」との話がありました。

また、それぞれの学校の代表から交流会の感想が発表されました。楽しかった活動の一こまを思い出させるような、実感のこもった内容でした。

帰路は、それぞれのバスに乗り須賀川を目指しました。途中志田浜で停車し、簡単な別れの会をしました。言葉を交わす生徒たち、握手をしたり住所を教え合ったりする生徒たち写真を撮り合う生徒たちなど、短い期間にもかかわらず、交流が深まって、別れを惜しんでいる光景が見受けられました。

 

三、事後交流

 

事後に、それぞれの学校で合同野外活動の感想文などを書き、交換し合いました。また、一部の生徒は、手紙のやり取りをしていました。

 

四、生徒たちの感想

 

「私は、合同野外活動ということで、自然の家に他校と行くのは、初めてだったので不安でした。でも実際に行ってみると楽しく、良い思い出がつくれました。

私が良かったと思ったことは、まず友達が作れたということです。病院にいると、限られた人しかいないので、広く友達関係がもてません。でも合同野外活動をしてみて、友達を増やすことができました。

それから、二日間だけ他の中学校の人たちの生活がわかったということです。どんなことを考えて、どんなことをしているのかということがわかりました。やっぱり、病棟のみんなと考えていることは同じでした。普通に恋をしているし、友達のことで悩んでいるし、いろいろな問題を抱えているみたいです。

生活も、ただ「家にいる人」と「病院にいる人」というだけでした。でもやっぱり普通の中学生は、けじめがきちんとついているなと思いました。そんなところは少し見習わなければならないと思いました。

体験して楽しかったことは、キャンドルファイヤーでした。みんなで楽しく歌ったり踊ったりしたことです。キャン。フファイヤーができなかったのが残念でしたが、また一つ楽しい思い出ができました。また、部屋にしおりを忘れたのですが、同じ班の人が歌詞を見せてくれました。優しい人がいて良かったと思いました。」

(須賀川養護学校一年生)

 

「養護学校との交流は、私にとって良いものでした。そして、改めて、人に優しくする心、協力の大切さなどを数えられたような気がします。

私は安静班で、主に腎臓が悪い人たちと一緒でした。だから運動班の人たちを恨めしそうに見ていました。

運動班の人たちが室内ゲームをすると言ったとき、ある人が、『やっぱり運動班にすれば良かった』と言いました。私はなんということを言うのだろうと思いました。しかし、私も人のことは言えなかったのです。心の片隅に『私もやっぱり・・・』と思う気持ちがあったのです。

私は自分のことしか考えていなかったのです。集団生活だということを忘れていました。そして、自分自身を、改めて見直し、自分にプラスになる面を見つけられたと思いました。だから私にとってこの二日間の活動は良いものでした。」 (仁井田中学校)

「私が一番心に残ったことは、やっぱり、キャンドルファイヤーでした。各班の出し物も楽しくでき、私にとって忘れない思い出になりました。特に、『小さい秋みつけた』を歌った班が印象に残っています。

みんな一生懸命歌っている姿を見たら、涙がでそうになりました。それと同時に思ったことは、体が悪くて養護学校に行っている人が、こんなに一生懸命にやっているのだから、私も負けないでがんばろうという気持ちでいっぱいになりました。

一泊二日という短い交流会ではありましたが、私にとっては、忘れられないすばらしい思い出になりました。」

(仁井田中学校)

 

五、おわりに

 

合同野外活動を中心とした短期間の交流ではありましたが、須賀川養護の生徒たちにとっては、仁井田中の生徒と活動をともにし、貴重な体験をすることによって、日常の自己の生活を見つめ直し、視野を広める絶好の機会になったように思われます。また、新たな友達もでき、対人関係面における認識の広がりもみられました。

仁井田中の生徒たちにとって、日頃忘れがちな健康の大切さに気づくとともに、病弱児といえども同じ仲間であり、お互いにいたわり合って生きていかなければならないという理解と認識が深まったように思われます。同様のことは、地域協力者の方々についてもいえるように思われます。

なお、教師の反省会では、今後のより効果的な交流活動のために、期日や場所の選定、事前指導の在り方、個に応じた活動量の健康上の配慮、場に応じた計画立案について更に検討する必要がある等の意見がだされました。

 

 

 


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