教育福島0141号(1989年(H01)09月)-039page

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の増員、関係者の連携に基づく相談事業の充実、転校事務に関する法的裏付けの条件整備が急がれる。学力の向上については、個人差に応じて人格の形成を図ることであるととらえ自己教育力の養成が大切であると感じている。人々の交わりの中で学び自己を見つめることができる交流学習の場の一層の拡充を期待する。

○宮園孝子一浅川中学校PTA役員一

−一人一人を生かすことについて−

・一人一人の子どもを生かすためには、親が一方的に期待を寄せるのではなく、心にゆとりをもって子どものやりたいことをやらせてみせることが必要であると思う。また、自ら学びとる子どもを育てるためには、わかる授業の実践が望まれ、同時に、子どもが自由に物を考え自己を表現できるような家庭づくりがなされなければならないと考える。

○佐川次男(県アイスホッケー連盟理事長)

−国際化社会における学校教育及びこどもたちに期待すること−

・衣食住の面でかなりの水準に達している日本人にとって、今後の国際化は物と心の両面からなされるべきで、学校においては豊かな心をもつて交わりの合えるよう相互理解教育に力を入れて欲しい。また、人間を地球全体の中の一種族ととらえて自然との調和を図るようなマクロ的な教育が必要であるとも考える。

○小島 晃(小野町公民館長)

−学校と地域社会に期待すること−

・現在、日本の教育体系は学校教育中心から生涯教育中心に移行しつつある。とは言え、生涯学習社会の基盤をなすのは学校教育で、その意味で、夢を育み、学ぶことが楽しく学年が進むとともに学校が好きになるような学校教育の実践に努めて欲しい。社会教育は、そのような学校教育を側面から応援してゆきたい。

○宗像哲夫(元田村青年会議所理事長)

−たくましい子供、たくましい教育−

・外国の子どもと日本の子どもの間には労働に関する意識に違いがある。時代の変化に見合った労働観の育成が望まれる。アルバイトについての規制の再検討や、地域の方を招いて労働についての話を聴く学習の場の設定などを考慮して欲しい。また、教師自身が社会の実状を知って切瑳琢磨するための研修機会の設定や、意欲的な教師の意見を汲み上げるシステム作りを提案したい。

○佐藤栄子(前県婦人教育指導員・主婦)

−親の役割と学校に期待すること−

・個性を伸ばすことの必要は理解しているものの、親たちは学力中心の価値観で子どもを見がちで、その点、父母の教育の充実が望まれる。一方、子どもたちは地域社会によって守られているという実感をもっており、周囲がこれに働きかけてゆく必要がある。学校においては、基礎学力の向上のために習い方の下手な子どもに対して一層の個別的な配慮がなされることを期待したい。

 

意見交換

 

意見発表者以外の方々からは概ね次のような意見が出されました。

○戸田満夫(義務教育課長)

・個性重視の教育は、個人差に応じた学習指導、個性を生かす学習指導、この二つの充実を図ることで実現される。社会の変化に伴う学校教育の課題の一つとして、今後もこの点に力を入れてゆきたい。

○鈴木俊三郎(石川小学校長)

・個性尊重教育の実現のためには、学校の実態を踏まえ、校長と教職員との共通理解に基づきながら、教育課程編成の工夫や基礎・基本を重視した授業の実践に当たることが肝要と考える。

○原 堅(郡山第一中学校長)

・校則は集団生活を営む上での基本となるもの。その運用や検討に際しては、生徒にも主体的に取り組ませたい。

○安原 滋(高等学校教育課長)

・生徒の個性を生かすためには個性を感得する機会を与えることが必要。その方策として個性的な生き方をしている人の話を聴くことや、外部講師を迎えること等についての計画や実践が県下の高校で進められている。

○服部秀文(養護教育課長)

・様々な障害をもって学ぶ子どもたちにとって、生きることの意味や生きがいについて考え実践することが個性重視の指導の根本になる。このような子どもたちは、働くこと、造り出すこと、他人に働きかけることの喜びを心から求めている。それに応えることができるよう努めたい。

○佐藤守男(聾学校長)

・個性尊重の教育の実践に当たって教師は、子どもたちが「いかに伸びていけるか、いかに適応能力を高めることができるか」を常に意識し、側面から援助することが大切である。

○本宮俊一(郡山市教育長)

・教師が一人一人の子どもに真心をもって接する機会が多い程、個性重視教育も学力の向上も可能になるはず。そのために教師の忙しさを軽減することと、地域社会や家庭等が子どもたちを見守り教育するための施策づくりが望まれる。

○吉田 彌(安積高等学校長)

・個性を大切にする教育のためには、図書館の図書等、教科書以外の教材も駆使して多くの「個性」を提示することや、生徒たちが自ら選択できる幅を与えることが大切である。生徒指導の在り方も、内面的なものに働きかけながら緩やかな規制の中で行う方が効果的である。

○氏家 仁(保健体育課長)

・現在、国体での本県の成績は低迷状態にあると言える。スポーツ少年

 

 

 


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