教育福島0141号(1989年(H01)09月)-042page

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レポート

研究実践

 

昭和63年度教職員研究論文の紹介

 

教材化した地域素材の活用を通して

主体的な学習態度を育てる指導はどうあればよいか

〜理科を核にした総合的学習の展開〜

 

鮫川村立西山小学校(団体)

 

一、主題設定の理由

本校は、児童数百四名で豊かな自然に恵まれたへき地山村の小規模校である。

この豊かな自然に積極的に働きかけ、子どもの自然に対する驚きや不思議さ、探求心を触発できる本校ならではの位置。新学習指導要領による具体的かつ直接的な活動や体験を重視した生活科の新設、合科的な指導や総合的な活動の充実等の今日的課題。これらを十分に踏まえ、毎日の授業を大事にしながら、どの子も学習への興味・関心をもち、直接経験を通す中で学習効果を高めた。さらに個別指導を一層充実して基磯・基本の定着を図り、地域のよさに目を向け、郷土への愛着心を育てたいと願い本主題を設定した。

 

二、めざす子どもの姿

〈低学年〉

自然の事象に力一ぱい働きかける子

〈中学年〉

進んで自然を見つめる子

〈高学年〉

見通しをもって自らの課題を解決する子

 

三、研究の仮説と具現化の方策

「身近にありながら見落とされがちな地域素材を教材化して子どもに出会わせ、見つめ調べる活動を組織すれば、自然の事象に自ら働きかけ、進んで学習することができるであろう。」

そのために

1.身近にある地域素材を開発し、教材化する。

2.子どもの経験をゆさぶり、追究意欲の持続化を図る。

3.追究活動の場を設定し、学習環境の整備に努める。

4.総合的な展開をする学習内容の系統化を図る。

 

マリーゴルドの育ち方を観察する子どもたち

マリーゴルドの育ち方を観察する子どもたち

 

四、実践の事例

 

「植物と環境」−六年−

1.素材開発と教材化の視点から

今までつい見過ごしがちであった学校周辺を見つめ直してみると裏山の雑木林、土手下のツバキ、ツツジ、サクラ、マント地帯にあるクズ、全校で種まきしたサルビア、マリーゴールド、カボチャの苗、休耕畑地に群生したシロザ等の貴重な素材が発見できる。これらを教材として生かすために、人工的に植えた植物の観察一観察対象の限定と課題の把握を明確にして一↓自然に茂っている植物一草花一の観察↓実験による確かめ一共通点、差異点のまとめ一↓自然に茂っている植物一樹木一の観察↓森林の観察という手順で展開した。この中で観察する植物を限定し植え方の違い、背の高さの違いなど、観察の視点をしっかりとらえてほかの植物を見つめさせることによってわかりやすく観察させることができた。

また、創意の時間を利用してカボチャの観察記録からは、ヘチマと同じようにカボチャにもお花め花があるのではないかという疑問をもって、これを追究して調べたり、食用カボチャを植えたはずなのに、いつの間にか飼料用のカボチャに変身していたという記録からその原因を調べたりすることを通して身近な素材が子どもの知的好奇心を刺激し、生きた教材として学習することができた。

2.経験のゆさぶり、追究意欲の持続化の視点から

苗箱に密植したマリーゴールドを見ると、大きく育った苗の間に十分に育つことができない苗がたくさんあることに気付き驚いていた。同じ時期に同じ土にまいたのに育ち方が違うのはな

 

 

 


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