教育福島0141号(1989年(H01)09月)-043page

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ぜか、同じ条件で日光が当たっていたはずなのにという疑問を契機に追究が始まった。植物同士が競争し合って生きているということを発見したことが実際の自然状態ではどうかと確かめへ駆り立て、クズやヒメジオンなどを自分で選び観察した。この観察をもとに理解を深めるために話し合ったことを「植物の研究」(国語)に書きつづり次への追究の持続力を身につけ立ち向かっていくことができた。

3.追究活動の場の設定と学習環境の

整備の視点から

本単元全体を通し、できるだけ野外にとび出してその子の五感から学ぶように、サルビア、マリーゴールドの観察をきっかけに森林に入り、観察ノー.トを手に発見を大切に調べまわったり、理科コーナーを設置し、学習したことを掲示し合って情報交換したりすることを通し、子どもたちみんなの貴重な資料にすることができた。

4.総合的に展開する学習内容の系統化の視点から

「カボチャつくり」「花いっぱい運動」(創意の時間)で栽培した植物を「花粉のはたらき」「植物どうしの関係」(理科)で生きた教材として活用1し、「調査したことをまとめて」「自然を守る」(国語)では、理科の観察実験を取材の対象としたり、自然に生きることの厳しさを学びとったりできた。この単元のまとめとして「野性のさけび声」一道徳一ではこれまでの学習経験からもの言わぬ植物への愛護の大切さを実感として感じとることができた。

 

「でんぷんの秘密調べ」に真剣に取り組む

「でんぷんの秘密調べ」に真剣に取り組む

 

「いもの一生」−四年−

1.素材開発と教材化の視点から

本単元では、採取観察が容易にできしかも観察や実験を通して多様な見方や特徴の比較分類がしゃすいヤマユリ、カタクリ、スイセン、地域特産のコンニャク等をジャガイモとともに教材としてとりあげ、自分で選びながら観察実験できるようにした。その中で自分で集めた身近な材料からとらえたその子の発見や驚きを学習の中に生かすことができるようにした。

2.経験のゆさぶり、追究意欲の持続化の視点から

「たね」で成長する植物の学習から、

「いも」で成長する植物に大きく変わる内容であるので興味がある。そこで種から育たない植物さがし↓種と同じように芽や根を出させるいもの中身調べ↓成長に必要な養分であるでんぷんの秘密調べの順序で展開した。自分で大事に育てたジャガイモと自分の調べたいコンニャク、カタクリ、ヤマユリ等の植物を比較しながら追究を重ねていった。

3.追究活動の場の設定と学習環境の整備の視点から

その子なりの追究心や好奇心を大切にし、意欲をそがないようにするため理科の時間はもちろん、いつでも「見つめ調べる」活動ができるような時と場を確保するようにした。この活動の中でその都度観察カードに記入し、

「ぼくの発見、わたしの発見」があれば発見カードに記し、継続して観察に取り組んだ。みんなに知らせたい大発見があると理科コーナーに掲示して知らせたり、自分の発見をクイズにして出題したりしながら自分なりに追究を深める姿が見られた。4.総合的に展開する学習内容の系統化の視点から

「いものめばえ」「いもの成長」(理科)では栽培したジャガイモばかりでなく、地域の植物をとり入れることにより興味を持ち追究を重ねていた。

「明るい色と暗い色」(図工)では、自分で育てたジャガイモ、自分で見つけた身近な植物を対象にして見たり触れたりしながら、自分とのかかわりを大切にし、色や形の違いをとらえて表現に取り組んでいた。

「作文ノート」「題材を選んで」(国語)では、観察カードや発見カードを作文メモとして生かして文を組み立てたり、「折れ線グラフ」(算数)ではニケ月間記録した茎の長さや葉の数の変化をグラフに表し、成長に驚きを感じたりする姿が見られ、教材として生きていることが実感できた。

 

五、研究の成果と課題

○ 子どもたちの地域の自然を見つめる目が高まり科学的な観点から調べるようになってきている。〇 一人一人の考えや観察の仕方を大事にすることによって、自分の考えで活動し、自信をもった言動が増えてきている。

○ 指導者の意識の変容として、子どもが活動の中心になる授業の組織の大切さ、学習の手順方法を工夫した意図的展開等への目を向けるようになってきている。

今後の課題としては

○ 事象提示による課題把握の改善

○ 総合的な学習を試みた方がより大きな効果が期待できる教科、単元をさらに探り、見直しながら指導計画の改善を図る。

○ 特別な活動と理科との関連を探り、各学年の指導の位置付けを明確にし、計画的な実践を積む。

 

 

 


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