教育福島0142号(1989年(H01)10月)-007page

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提 言

 

○現在の主な役職

・郡山商工会議所副会頭

・日本チェーンストア協会常務理事

・高度情報化システム研究会会長

・ふくしまテレメディアサービス株式会社代表取締役社長

カナダ学生と筆者(平成元年七月、於郡山)

カナダ学生と筆者(平成元年七月、於郡山)

 

ばならない環境が生徒達を成長させていると思っている。更に、海外で生徒達は、いろいろな場所で日本についての質問攻めにあうことになる。世界の至る所に日本の商品が溢れ、日本人の旅行者には世界中どこでもお目に掛れると言われているが、意外なほど日本とか日本人については知られていないことに気付くのである。このことは、日本における国際化の認識について重要な意味を持っていると考えている。つまり日本人にとって都合の良い一方的な国際化とか、国際生を求めるのは間違いだということである。外国旅行をするとか、高校教育課程で世界史を必修にするとか、英語教師を海外から招致することが国際化する上で重要であるということも理解できるが、もし、外国人とのコミュニケーション、又は国際人の育成を考えるなら、自国の文化、伝統歴史をしっかり学ぶことがむしろ重要でないかと考えている。

当財団の派遣事業プログラムには、アメリカ・カリフォルニア州立大学で約十日間のキャンパスステイを行っている。目的は、英語と訪問先の文化などを学ぶためである。生徒達全員がこの授業は非常に楽しかったと感想を語っている。余程日本での英語の授業は苦しいのだろうか? アメリカの学校での先生方の指導も大変個性的なのである。全員が解るまで徹底して指導し、解るとオーバーに褒め、生徒達が理解できなければ、自分の指導の仕方が悪いと考えているようである。良い悪いは別として感心させられる事実である。

この夏、カナダの学生達を福島に招待した。その時学生達は、日本の高校についてこんな感想を語ってくれた。「高校教育の質の高さに驚き、何故こんなに朝から夜まで勉強ばかりしているのか不思議でしょうがない。自分自身で自由に何かをやる時間がないのでは。」と言うことだった。しかし、福島の高校生との自由な会話では、ワイワイ、ガヤガヤと、話題は音楽とかボーイフレンドとか……。ホッとしたのは私だけではなかったようである。そしてカナダの学生達が帰国し、沢山の人達に日本および福島について話してくれるものと信じている。最後に、国際交流は短期間で成就されるものではなく、まして時代の風潮という次元で考えるべきものではないと思っている。

 

 

 


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