教育福島0142号(1989年(H01)10月)-024page

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よく探し出してくれたものである。そういえば、O君はNTTに就職したと聞いたことがある。さすがである。他の人たちはどうしているのかなつかしく思い、即座に出席の返事をした。

同級会当日、会場の玄関を入ると、どことなく当時の友だちの姿とは違うのにびっくりする。二十七年も経過しているのであるから当然かもしれないが、それにしても違う。これはどうしてなのだろうかと疑問に思いながら会場に入る。

なつかしい恩師のA先生、N先生の思い出話をまじえたあいさつが終わるや、せきを切ったように、それぞれがおしゃべりを始める。

佳境に入った頃、H君がマイクをとり、「祝い酒」を歌い始めた。うまい。話に夢中になっていた人たちも、ステージで目をかがやかせながら歌っている彼を一斉に注目した。今、彼は、埼玉県で鯉を扱っているとのこと。その彼が歌い終わるや、「わたしは、九年間音楽は1でした」と言い、ステージを降りた。この言葉で彼は何を言おうとしたのであろうか。

隣では、Y君を中心に談笑している。彼は、中学時代漫画が好きで、よく読み、自分も描いていた。そして、当時の夢は漫画家になることであった。そのため、卒業するや上京し、漫画家に弟子入りし、今や、あちこちの雑誌に連載されるまでになった。夢を見事に実現した彼の目もまたかがやいている。

この二人ばかりではない。出席している人みんなの目が生き生きとかがやいている。これを見て、玄関先での疑問が解けたような気がする。それぞれ進んだ道は違うけれど、みんな自信を持って生活しているからであると。中学時代は何かおどおどしていたのだが、どうしてこうなったのであろう。改めて、そのことが疑問になった。

数日後、家族をつれ、母校の下を流れる四時川に川遊びに出かけ、川の流れを眺めているうちに、ふとそれは、みんな「モノサシ」をたくさん持てるようになったからではないかと思った、あの頃は、長さを測る「モノサシ」しがなかったけれど、今は、重さを量る「モノサシ」、時を計る「モノサシ」などいろいろな「モノサシ」が持てるようになった。

新学習指導要領においては、「個性を大切に」といわれている。この同級会に参加して、そのポイントはこの辺にあるような気がした。

同級生によるおしゃべりは、その後十二時間も続いた。

(いわき市立三阪小学校教頭)

 

「スパークス」と私

 

高 野 博 之

る)である関係上簡単にその歴史を振り返り、紹介にかえてみたいと思います。

福島大学OBで構成されている「スパークス」というソフトボールチームをご存知でしょうか。教職員大会では県内はおろか東北でも敵なしの強さで過去に全国大会でもベスト8に入る活躍もありました。私もこのチームの一員(ただしプレーヤーとしては、はるか昔にお払い箱になり、最近は暮れの忘年会の参加だけである)である関係上簡単にその歴史を振り返り、紹介にかえてみたいと思います。

昭和四十年代初頭、野球が好きだが本格的にやるには経済的に少々…(失礼!)という学生数人が未練を絶ち切れず考え悩んだ末にソフトボールなら手頃と判断し仲間を募り愛好会を結成したのが事の起りである。「スパークス」という球団名の由来には諸説があり(一)「火花」とか「きらめき」という意味が結成当時の心意気に一致する。(二)単に耳あたりが良い。(三)辞書の何番目かに「色男」という意味がある。等どれが本当なのか今でも定かではない。

さて組織も徐々に整い、早朝の練習や合宿で、技術を磨き、立派な球団歌までできるとあとは実戦によって自分達の力を試してみたくなるのは当然のなりゆきである。マネージャーの計らいで学内の体育祭とか、町内会のチームとの対抗戦に参加したが、結果は勝ったり負けたりという状態でお世辞にも強力なチームとは言えなかったようだ。ただし愛好会という性質上、勝負に徹するより会員の親睦が第一の目標であったので、その意味では充分な成果をあげたと思われる。このいわば揺藍期は十年程続いたが、そこでチームの存在を揺るがすような大きな出来事が起こったのである。市内の女子高との練習試合が行われたが、戦前の予想とはうらはらに、手も足も出ず完全試合を逃れるのがやっとという惨敗を喫っしてしまった。腕をぐるりと廻す「ウインドミル」という投法を見たのもこの時が初めてであった。この時のショックが会員の意識を大きく変えたのは言うまでもない。ソフトボールはスポーツであり、勝つことを目標として取り組むべきものだということを悟らせたのである。これ以後、専門家の指導を受け、更にチームを部に昇格させ本格的な練習によって次第に力を増していったのである。

最後に私自身の思い出を少々。新入生歓迎コンパで訳のわからないうちに加入。翌朝、宿酔の体で初練習。合宿


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