教育福島0142号(1989年(H01)10月)-048page
教育・ひと口
著 作 権
−著作権法を中心に−
文化課
一、著作権とは
(1)意義・内容
著作権とは、狭義には著作物を排他的に利用する(著作者が独占的に利用する)財産的権利であるといえます。
著作権法は、著作物の利用の態様に応じて著作権の内容を次のように定めております。
すなわち、(1)複製権(二十一条)、(2)上演権・演奏権(二十二条)、(3)放送権・有線送信権等一二十三条一、(4)口述権(二十四条)、(5)展示権(二十五条)、(6)上映権・頒布権(二十六条)、(7)貸与権(二十六条の二)、(6)翻訳権・翻案権等(二十七条)、(9)二次的著作物一例えば小説を基にしたドラマとか)の利用に関する原著作者の権利(二十八条)であります。
貸与権については、貸レコード対策のために昭和五十九年の法改正によって新設されたものです。
2)権利の発生
我国の著作権法では、著作権の発生について無方式主義を採っております。すなわち、著作者の権利の享有について、登録、表示等の方式を必要とせず、.著作物を創作したときから、著作者に著作権が自動的に発生するという考え方を採っております(十七条二項)。
3)権利の譲渡性
著作権法上は、狭義の著作権のほかに著作者の権利として著作者人格権という権利も認めております(十七条)。
この権利の性質は一身専属権といわれ、著作者の死亡とともに消滅するものとされております一五十九条)。
従って、譲渡、相続の対象にはなりません。
しかし、狭義の著作権は財産権であり、しかも一身専属権でありませんから譲渡、相続の対象となります(六十一条)。
4)保護期間
保護期間とは、著作権の存続期間のことです。
ところで、著作権が、前記のように著作物を排他的に利用する権利であると考えますと、所有権類似の性質をもつものとして、永遠に存続するという考え方も採り得ます。しかし、それでは、文化の発展が阻害されかねません。
そこで、我国の著作権法は、原則として、著作者の生存及びその死後五十年間だけ著作権が存続することとしました(五十一条二項)。
二、著作物とは
では、そもそも著作権の客体であります著作物とは如何なるものをいうのでしょうか。
これについては、著作権法第二条で規定しております。すなわち、著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」であると。
ところで、著作物性を如何なるものに認めるかということになりますと、結構難しい問題があります。
一つの例をあげておきますので考えてみてください。それは、例えば、漫画のキャラクター(例えばサザエさんの顔)に著作物性が認められるかという問題です。右著作物の定義から考えますと肯定することもできますし、否定することもできます。みなさんはどう考えますでしょうか。
なお、コンピュータープログラム、データベースについては、六十年、六十一年の法改正で各々著作物性が認められることになりました。
三、著作権の制限
著作権者は、一で述べましたように著作物を排他的に利用する権利を有しておりますので、他人が著件物を利駕する場合、著作権者の許諾を得なくてはなりません。
しかし、このことをすべての場合に適帯すると著伜権法の趣旨(文化的所産の公正な利用と著作権者の権利の保護を函り、もって文の発展に寄与する)を没却することになりかねません。
そこで、著件権法は著伜権が制限される場合として三十条から四十八条までの規定をおきました(詳しくは条文を参照してください)。
四、最後に
以上のことから著作権の概略はおわかりになられたかと思いますが、他人の著作物を利用する場合、次のことに注意してください。1)利用する著作物が著作権法で保護される著作物にあたるかどうか。2)保護期間内のものであるかどうか、3)自由利用が許される場合であるかどうか。
なお、著作権法は、右のように著作者の権利を保護するとともに、実演家等の権利(著作隣接権という)も保護していることを付け加えておきます。