教育福島0143号(1989年(H01)11月)-009page
よって、コンピュータを身近なものとしてとらえ、様々な場面でコンピュータを主体的に活用できる能力と資質を培うことができるものと思われる。
三、研究の視点・内容
(1)学習指導における効果的な活用
【学習場面に応じた活用】
・資料一事実)の提示の手段、方法
・問題解決の手段・方法
・問題解決のための情報源
・基礎的基本的内容の定着
【学習形態に応じた活用】
・グループでの活用
・一斉授業での活用
(2)コンピュータリテラシーの育成
・「ロゴ」言語を用いての学習
・音楽的な活動、図工的な活動
・特別活動などでの活動
(3)教育支援、教育管理面における活用
・学習資料や図書の検索
・各種データ処理
・児童管理、備品管理、教務管理等
三角形と四角形で囲まれた動物たち
四、研究の実際
(1)学習指導における活用
子どもの知的発達は、子ども自身の積極的な「外界への働きかけや活動」によって、成立するといわれる。子どもは、操作活動や表現活動など、外界に対する働きかけや活動によって、思考を巡らす。その考えたことをもとに、更に外界に対する働きかけや活動をすることになる。この繰り返しによって、子どもの認識がより確かなものとして形成されるのである。
こうした考えのもとに、働きかけの対象をコンピュータに置き換え、子どもの望ましい知的変容を図ることを、学習指導におけるコンピュータ活用の基本的なねらいとした。
そこで、学習指導における活用は、コンピュータの特性と教科の特質を踏まえ、「算数」「社会」「理科」の三教科を中心に、次の点に配慮しながら実践的に研究を進めることにした。
・授業の本質、教科の本質を踏まえる。
・児童の思考や発達の特性を踏まえる。
・コンピュータの特性を踏まえる。
1)算数科における活用
コンピュータによる経験は、あくまでも間接経験であり、抽象化されたものである。算数科では、「問題提示」「問題解決の方法・手段」などの場面における活用が考えられる。
【実践例1】「三角形と四角形」二年
◎ねらい
直線で閉じた図形を作る活動を通して、図形学習に対する関心を高めることができる。
◎コンピュータの位置づけ
ア.アニメーションの動きの観察
動物のアニメーションを見ることで、「動物がにげた」という問題場面をつかみ、解決への興味と意欲をもつ。
イ.直線を用いて画面の動物を囲む。
にげた動物を捕まえるために、マウスを用いて直線を描き、何本かの直線をうまく用いて画面の動物を囲む。
ウ.囲んだ動物の周りをぬりつぶす。
ペインティング機能を利用し、直線で囲んだ図形が閉じた図形であることを確かめる。
◎児童の変容
コンピュータを使うことで、二年生でも抵抗なく直線を描いたり、消したりすることができ、一人一人の発想を生かした活動ができた。その結果、直線で囲むという概念がより明確に意識づけられ、三角形や四角形の概念をおおまかにとらえることができた。
算数科では、シミュレーション機能を活用することによって、連続して変化する量の提示など、具体物では提示の困難なものが可能となる。これによって、児童の興味や関心を喚起し、追究の場面などにおいて児童の多様な発想を促すことができた。
また、問題解決の見通しにそって、シミュレーションやグラフィック、検索、データの処理などのコンピュータの機能を生かした操作活動の場を構成することが、一人一人の発想に応え、一人一人を生かすことに結び付いた。
2)社会科における活用
社会科では、「事実・事象の提示」「資料の検索」「資料の再構成」などの場面での活用が考えられる。
【実践例2】「わたしたちの生活と農業」五年
◎ねらい
国内の食料生産が不十分であることから、農産物生産に関わる問題に気付く。
◎コンピュータの位置づけ
ア.米と麦の自給率のグラフ化
飢える国の様子を知り、自分たちの食料への不安を募らせる。そのときに提示された米と麦の自給率のグラフによって、他の作物の自給率に関心が向く。
イ.様々な作物の自給率の入力、適切なグラフの選択、考察。
いろいろな農作物の自給率の数値を入力し、グラフ化する。種類の違う作物を比較するのに適したグラフ、同じ作物の自給率の変化を調べるのに適したグラフを選択する。
◎児童の変容
米の自給率のグラフが、他の国の飢える様子と結び付くことによって、児