教育福島0143号(1989年(H01)11月)-022page

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文化財の保証

 

一、文化財の指定と保護.

 

わたしたちの遠い祖先が歴史の中でつくりだし、引き継いできた貴重な文化的遺産を保存し活用を図っていくことは文化の振興にとってきわめて重要なことである。

そのため、文化財の中から特に歴史的、学術的に価値のあるものを重要文化財、重要無形文化財、重要無形又は有形民俗文化財、史跡、名勝、天然記念物として指定し、これを一般に公開するとともに保存に努めているところである。

現在の指定件数は、国指定百五十五件

県指定三百七十五件、市町村指定一千六百八十九件となっている。

 

二、文化財保護審議会

 

県文化財保護審議会(会長 山口彌一郎)は、十五名の委員で構成され、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、教育委員会の諮問に応じて建議を行っている。

同審議会が教育委員会の諮問に対し指定する旨の答申を行い、本年三月二十二日付で新たに指定した文化財は、重要文化財四件、重要無形文化財一件、史跡一件合計六件である。

 

三、民俗文化財調査(民俗芸能緊急調査)

 

都市化の進展等により、民俗芸能は急速に衰退し、その内容が変容し、中断又は廃絶しつつあるものが多い。

本調査は、平成元年度から二年継続で調査を行い、その結果を報告書としてとりまとめるものである。

 

四 文化財保護指導者講習会

 

文化財の保護について指導的立場にある関係者を対象として、文化財に関する専門的事項について講習会を開催した。

○期日 平成元年七月二十七日−二十八日

○場所 郡山市労働福祉会館

○講義及び講師

「県指定史跡鳩山城跡の指定とその後の管理・公開について」

田島町教育委員会社会教育係長

佐藤高慶

「歴史民俗博物館の理念について」

国立歴史民俗博物館教授

福島県文化財保護審議会委員

岡田茂弘

「県内出土の中国陶磁器について」

福島県立博物館副主任学芸員

伊藤正義

「彫刻・絵画等の取り扱について」

福島県立博物館主任学芸員

若林 繁

「歴史的建造物に思う」

日本大学工学部助教授

郡山市文化財保護審議会委員

狩野勝重

「県内の製鉄関係遺跡の調査について」

側県文化センター遺跡調査課

文化財主査寺島文隆

○現地研修

如法寺、館の腰城跡

 

五 第三十一回北海道・東北ブロック民俗芸能大会

 

北海道と東北各県に伝承されている民俗芸能を一般に公開し、理解と認識を深めるとともに記録保存を図るもので、今年度は、九月三日目福島県文化センターにおいて開催し、九団体が出演した。

 

埋蔵文化財の現況

 

一、重要遺跡基本資料整備事業

 

遺跡周知事業で確認された遺跡のなかから重要遺跡をとりあげ、保護のため基本的な資料を整備する。

本年度は、会津地区を対象に五十二遺跡の立地・発掘調査等の成果を示す航空写真や記録を収集し、整備することとしている。

 

二、文化財調査(県内貝塚分布調査)

 

貝塚は、縄文時代等の社会や文化を知る上で極めて重要な遺跡であるが、近年の開発行為によって急速に消滅しつつある。本調査は、これらの悉皆調査と既調査資料の収集を行い、今後の保護策を講じるための基礎的資料を整備しようとするものである。

平成元年度から二か年計画で実施する予定で、本年度は、県下全貝塚の所在確認調査を進めているところである。

 

三十一ページへ続く

 

玉川村北須釜の平鍬踊(北海道・東北ブロック民俗芸能大会より)

玉川村北須釜の平鍬踊(北海道・東北ブロック民俗芸能大会より)

 

 

 


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