教育福島0143号(1989年(H01)11月)-033page
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心の豊かさを求めて提言つづく
第二回 いわき地区教育広聴会
平成元年度第二回の教育広聴会は、十月二十五日(水)に、いわき市文化センターで開かれました。
広聴会には、大内忠昭県教育長、紺野勇教育次長をはじめ六名の関係課長といわき教育事務所長、そして今回特に参加をお願いした、地元いわき市在住の諸橋鐵二郎県教育委員が出席し、五名の地区教育関係代表者、そして四十余名の一般傍聴者の皆さんとともに意見の発表に耳を傾けました。
「子どもたち一人一人の個性に応じた教育の充実と学力向上のために」のテーマのもと、藤原誠総務課長の司会によって、十名の意見発表者の方々からはそれぞれの体験を踏まえた様々な要望や提言がなさました。
当日の意見発表者と発表内容の概要は次のとおりです。(以下、文責総務課広報係、敬称略)
意見発表
○笹川直樹(平第一小学校教諭)
−一人一人を認め生かす心豊かな教師をめざして−
学級集団の中には実に多様な考えがある。個性に応じる教育の実現のためには、いろいろな考えを出し合い吟味検討する過程を大事にすることが必要で、子どもたちはそのことによって追求する喜びを見いだし、より合理的な方法を考え出したいと思うようになる。
更に、個性に応じる教育のためには、学習活動を感動が伴うものにすること、自分の力で解決できたという喜びを感じさせることが必要である。
子どもたちに真の学力向上をもたらすための本質的な解決方法は「心の教育」以外にはない。一人一人の子どもに目を配り、その個に応じた指導を工夫して、日々の授業の中で子どもたち自身の中に学ぼうとする心を培ってゆくために努力していきたいと思う。
○志賀英信(小名浜高等学校教諭)
−心豊かな生徒の育成をめざして−
・現在の高校が抱える最大の課題は、中途退学者を減らすことにあり、その指導の根本となるのは、教師の「一人一人の生徒に対する思いやりと愛情」であると思う。そのような豊かな心を持つ教師を増やすには、生徒理解のための校内研修の充実、個人面談や家庭訪問などを通して生徒と保護者からの信頼を得る、授業を楽しくわかり易くする指導法の改善、生徒の進路実現に誠意をもって取り組む、これらについて、教師自身が研鑽を積む必要がある。また、県教育委員会にあっては、初任者研修や経験者研修の際に、生徒指導に関する内容を多く取り入れることや、生徒の心を真に理解できる教師を多く得るために、教員の採用に当たっては従来にも増して幅広い面からの選考をするなどの配慮をお願いしたい。
「魅力ある学校づくり」は生徒の自信にもつながり、県当局には「創造性豊かな魅力ある学校づくり」推進事業の継続と一層の援助をお願いする。また、部活動の成績は生徒を勇気付け、自信を抱かせるが、それも指導者の力に負うところが大である。人事面での配慮と予算的な援助を期待する。
〇九頭見淑子(湯本第一小学校PTA役員)
−子どもの教室から−
・合唱部に入ったことを契機に明るさを増した現在小学五年の女の子のことや、長男が小学生の時、クラスでの話し合いの際に、担任の一言ですっかりやる気をなくしたことなどから、子どもはちょっとしたことからでも大きな影響を受けるものだということを強く感じた。また、長男が中学生になると、先生の個性溢れる授業に興味を抱き、その様子を一生懸命に話してくれた。先生方には、子どもたちの興味を引きつけるよう教える内容を自分で消化し、演出して個性ある授業を生み出して欲しいとも思う。
長男の高校受験を通して、いわき地区には二百十七名もの中学浪人がいることを知った。毎年二百人程の中学浪人が出ているが、彼らが過ごす一年間の重さを考え、計画的に定員増を図ることで中学浪人をなくし、また、彼らが高校生活を始める際には、応急措置のプレハブ教室ではなく、快適な環境の中でスタートさせて欲しいと思う。私は自分の四人の子どもが、人のあたたかさのわかる人間になってくれればと思っている。また、成績イコール人間性ではないことをもう一度考え直す時が来ているとも感じている。
○酒主照之(いわき養護学校PTA会長)
−ゆとりある教育−
・本来、教育というものは人間性を高め、生活に潤いを与えるものであるべきだが、現今は、それが受験のための道具となり、ランク付けの手段となつ
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子どもたちの教育について熱心に意見を交わした広聴会
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