教育福島0143号(1989年(H01)11月)-034page
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |
ているのはまことに残念に思う。また、小学校の高学年からクラブ活動が加わり、半ば強制的に行われたり、内申書と結びつけて考えられたりしているが、果たして日曜日や夏休み期間までクラブ活動が必要なのだろうか。
子どもが、その本来の仕事であり、やがて社会の一員として健全な生活を送るための楽しい試練ともなるはずの遊びを忘れている今日の状況は歓迎できない。教育をめぐる現在の風潮を改めるためにも、模擬試験や入学試験をもっと深い知識を求める内容に改善すべきではないかと思う。
現在の特殊教育の現場、特に、普通学級に併設されている特殊学級は学校内の隔離施設の感がある。併設の意味を高めるために、もっと学校をあげて特殊学級と健常児との交流を推進してはどうか。特殊教育、養護教育の現場において施設の不備、スタッフの不足等の問題は多い。障害児に、スポットを当てるような教育を是非お願いしたい。
○荒川信郎(いわき市体育協会理事長)
−心身の調和的発達−
・「心豊かなたくましい人間」の育成のためには、子どもたちの心身の調和ある発達を図ることが重要である。
本県の子どもたちの体格は順調な伸びを示しているのに、体力と運動能力において低下の傾向にある。心身のアンバランスな発達に対する適切な対応が望まれ、その具体策としては、特に、学校教育の中で子どもたちが興味をもって自発的にスポーツに参加する課外の運動部活動を活発にすることが得策である。そのためには指導者の確保と資質の向上、設備の充実、子どもたちの自発的参加の促進が必要となる。
競技スポーツ体験の意義は、体力、運動能力の向上は勿論、苦しい練習に耐えて自己の怠惰に打ち勝つ強靱な精神力が培われ、活力ある人間の育成ができることにある。指導者は、スポーツで得た能力を学業の面でも生かすようにすることが肝要で、それが、広く社会全般に競技スポーツ体験の意義を認識させることになると思う。
○志賀文岳(日本青年会議所福島ブロック協議会会長)
−地域による個性ある学校づくりと地球人意識−
・人々が地域を知り愛することで知恵が生まれ、その知恵を出し合うことで地域づくりが行われるとすれば、結局のところ、地域づくりは人づくりであると言える。地域づくり、人づくりのためには、家庭と地域住民がそれぞれの役割を十分に果たすことが必要で、その上で、親と教師が意見交換をし、地域のカラーを出して個性ある学校(教育)を創造していくべきである。
また、自然とのふれあいが乏しく、ふるさとを愛する心も育ちにくい現代の子どもたちの教育に当たっては、カリキュラムの中にふるさとの歴史・文化を取り入れて、ふるさとのイメージを持たせたいと思う。地域について学ぶ校外学習の実施と、その際に利用できる送迎用大型バスの購入、そして、地域の一般の方々から仕事を通してのお話を聞くための外部社会人講師の導入を提案する。
時代の要請である国際化教育に関しては、国際的な視野をもった「世界の中の日本人」の育成が大切で、今後は、外国語教育に重点を置きながら幅広く国際交流事業を取り入れて欲しい。
今、子どもたちが「日本人」であることの誇りと勇気と思いやりの心を持った人間として羽ばたける場(社会)を作っていくことが大切で、その中で子どもたちは真に国際性を身に付けて育っていくものと信じている。
○馬目佳彦(いわき経済同友会代表幹事)
−生涯学習社会へ向けての学校教育の取り組むべき課題−
・新しい時代の流れに添って教育を見直した場合、学校教育の大きな役割の一つは、ふるさとを担う人材を育てるところにあると考えるべきである。ふるさとを担う人材を育て地域を活生化するために教育行政や教育現場の中に、もう一度ふるさとを考える視点を確立させることと、体験を通して地域の姿を感じることができるような実践を取り入れることを提案したい。「ふるさと学」の学習によってふるさとを知り、ふるさとに誇りを持つようにすることが、二十一世紀や国際化を迎える子どもたちに是非とも必要である。
現代社会において求められる人材は個性豊かな感性豊かな人物である。しかし、現在の学校は完全に知識偏重で、特に、入学試験には問題があると思う。そこで、選抜試験という概念を捨てて、個性豊かな人間、あるいは二十一世紀に向けて教師と共に勉強する人を探し出す作業としてとらえ直すことを提案する。推薦制度を拡大して個性的な人間や部活動で頑張っている人をどんどん入れたり、面接を効果的に行って、目的意識のある人を見つけ出したり、やる気を起こさせて招き入れる等の工夫ができないものかと考える。
学ぶ喜びを知り、そこから得た知恵を利用して楽しむような学校教育の実現が、生涯学習社会に向けて学校が取り組むべき一つの課題であると思う。
○猪狩光正(いわき市川前農業協同組合参事)
−へき地教育の充実について−
・市役所から四十キロメートル離れた山間高冷地の川前町にあって、高校進学生を持つ親の一番の悩みは、市内高校への通学の足の確保が難しいことである。最寄りの駅までの朝晩の送り迎えや、市内に下宿させる場合の経済的負担などの問題があり、これらの解消のために、遠隔地からの通学生が利用する路線バスの確保、学生寮の設置など、安心して進学できる状況を設定して学力向上を図って欲しい。
最近の子どもたちは自然から多くを学ぶこともなく、生活体験を通して学ぶ機会も極めて乏しい。川前町の小白井中学校で行った地元特産の「いんげ
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |