教育福島0143号(1989年(H01)11月)-040page

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研究実践

レポート

 

文部省研究指定校の実践

1.勤労体験学習

〜県立会津高等学校〜

2.教育課程−家庭科−

〜県立猪苗代高等学校〜

 

本稿において紹介する両校の研究は、昭和六十二・六十三年度の二年間、文部省の研究指定校として取り組んだものである。

勤労体験学習は、働くことや創造する喜びを体得させ、望ましい勤労観や職業観を育成することが目標である。勤労体験には色々あるが、会津高等学校では、環境美化運動と奉仕活動を中心に、生徒が主体的に取り組む中で調和のとれた人間形成をめざした研究である。

一方、猪苗代高等学校は、昭和五十七年度から実施している家庭科の男女共学の取り組みに工夫改善を加え、よりよい方向をめざす研究であり、平成六年度から実施される新学習指導要領(家庭科の男女必修化)をも背景においた先導的なものである。

 

豊かな人間性をはぐくみ正しい勤労観を養うための環境美化運動と奉仕活動の実践

−県立会津高等学校−

 

一、主題設定の理由

 

体験的学習を通して生徒の実践的能力を育成し、生徒に知・徳・体の調和のとれた豊かな人間性の発達を促すとともに、正しい勤労観を養い、積極的に社会に貢献することのできる人間の育成を図るため標記の主題を設定した。

 

二、学習目標と内容

 

1 ホームルームの時間、作業の前後の指導を通して勤労観、職業観を育成する。(進路指導・工場見学等一

2 校舎内外の清掃や草花栽培を通して愛校心を高める。(毎日の清掃、定期的大掃除、プランターによる草花栽培等)

3 学校行事や生徒会活動を通して自主性、主体生の伸長を図る。一剣舞奉納 …飯盛山及び京都黒谷会津藩士墓前)

4 公共施設の清掃奉仕活動を通して地域社会への関心と認識を高める。(鶴ケ城、湯川、通学路等の清掃)

5 ボランティア活動を通して「思いやりの心」を育てる。(献血・共同募金、老人ホーム訪問等)

 

三、研究実践とその成果

 

1 勤労意識について

本校は進学校ということもあり、知識の習得が生徒の生活の大部分を占めている。また、近年、特に受験競争の過熱化により、勤労体験の機会を少なくしている。勤労体験学習は、すぐれた人間関係を育成し、人格的発達の側面に大きな効果をもたらすという視点に立ち、本学習を導入した。「学習環境の美化活動」として、従来の当番制から全員清掃とし、毎日二十分間、教師と生徒が一緒に校舎内外の清掃に取り組んだ。従来は当番でありながら休みの生徒と一緒に帰る等サボる生徒が多かったが現在は全員が清掃活動をし、やらない生徒は一・八パーセントになった。ホームルームにおいても勤労の大切さを教え、家庭に対しては『勤体だより』を発行し仕事をさせる呼びかけをした。六十三年七月の調査では六十パーセント以上の生徒が日曜、長期休業等に、家業の手伝いや公共のための作業に参加するなど、徐々にではあるが、勤労意識や関心が高まってきた。

2 勤労の意欲、技能、態度について

(1)教師指導型から実践範例型の指導へ

教師が率先して作業にとりかかり、生徒たちに作業をしなければという気持ちを起こさせるようにした。六十二年の秋の校舎外清掃時に落葉集めから腐葉土づくりに発展した創造的学習は、生徒の発想によって進められたものである。

(2)生徒の自主的活動への助言と指導

ア 公共施設等の全校一斉清掃奉仕活動は、日時、場所等については勤体企画係で計画し、細案については各クラスのホームルーム長と運営委員が中心に作成して実施した。

イ 老人ホーム訪問は、生徒会総務と音楽部が中心になり、顧問教師とともに企画し、当日はすべて生徒の手

 

全校一斉清掃奉仕活動

全校一斉清掃奉仕活動

 

 

 


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