教育福島0144号(1990年(H02)01月)-010page
特選入賞論文
個の達成状況に応じた
学習指導法の工夫
会津若松市立一箕小学校 教諭 大堀浩平
一、主題設定の理由
算数科の授業においては、一人一人の児童の実態を的確にとらえ、適切な指導の手をさしのべることによって、一人一人の児童にねらいを着実に達成できるようにすることが大切である。
しかし、これまでの指導では、よく理解できないでいる子どもを見落としたり、つまずいている子どもに対して指導が不十分だったりして、授業の効率が高まらないのが現状であった。そのため、つまずきが累積され、算数に対する興味や自信を失い、学習意欲さえ失ってしまう傾向があった。
そこで、これまでの一斉指導の中で児童一人一人を配慮した指導の在り方を見直し改善するという立場から、個々の児童に対する効果的な指導法を追究していこうと考え、本主題を設定した。
二、研究仮説
場合の数の指導において、形成的評価を取り入れ、一人一人の到達状況を明らかにし、その結果に基づき、学習プリントによって個に応じた学習を進めさせれば、児童の学習意欲が向上し学習到達度は高まるであろう。〈仮説に対する考え方〉
1)形成的評価を取り入れた授業設計
図1のような流れで授業を展開することにより、児童の学力形成を確実なものとすることができる。また、指導方法上の諸問題や指導内容等に対する改善をもたらすことにもなると考える、
2)一人一人の到達状況を明らかにするとは、
毎時間の学習内容について、一人一人の到達状況を形成的評価により診断し、その結果から、個々のつまずきや到達状況を明らかにし、個々に指導の手だてを考える。
3)学習プリントによって個に応じた
学習を進めさせるとは、
診断・補充・深化・発展問題からなる学習プリントを作成し、個の到達状況に応じて、つまずきのある場合には、問題を解決するための段階的な補充問題に取り組ませて?まずきを解消する。つまずきが解消された場合やつまずきがない場合には、深化・発展問題に取り組ませることにより、より確かな学力を定着させる。このような個に応じた働きかけを行うことで、どの児童にも「できた」「わかった」という成就感や満足感を味わわせ、個の確かな学習の成立を図る。
三、研究計画(省略)
四、検証構想
1) 毎時間の到達目標の設定
1) 基本的指導事項の内容と到達目標を明らかにする。
2) 1)をもとに基本的指導事項の目標分析を行う。
3) 2)から診断・補充・深化・発展問題を作成するための問題の分析と作成をする。
(二) 一人一人の実態の把握
1) 診断テスト・事前テスト・学力検査・知能検査を実施する。
2) 1)の結果から、個々の到達目標基準を設定する。
(三) 授業の組織
1) 指導過程の工夫をする。
2) 評価の観点と方法を組み込んだ指導計画を作成する。
3) 検証授業計画を立てる。
4) 個々に到達させる方法を計画す
図1 形成的評価を取り入れた授業設計図