教育福島0144号(1990年(H02)01月)-015page

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号や線の持つ意味が分からず、結局、天気予報ができなかった。その後、『天気予報はどうしてできるのか』について生徒に考えさせた。その過程で「記号や線の意味が分かればいい」などの多くの意見や、「前線と雨の関係はどうなっているのだろうか」などと幾つもの疑問が出された。これらの意見や疑問から、生徒に今、天気予報をするのに何が必要かを考えさせ、それを解決していくという授業を展開していったのである。

(2) 生徒に課題構成を行わせ生徒が目標を持つような指導計画作りを行う。

1) 疑問点を解決する方法や順序を生徒自身に作らせる。

[第二回検証授業(天気の変化)における実践から]

指導計画(図1)を見てもわかる ように、始めの課題作りで生徒に天気図から天気予報をさせた。その結果、「天気図記号が分かればよい」ということと、「等圧線の書き方や意味が分かればよい」ということが出てきた。そこでその二つの課題を解決してから、実際に天気図を書かせた。すると、今度は天気図は書けたものの「天気予報をするためには、低気圧や高気圧と風について知る必要がある」とか「前線というものは何かを知りたい」などと再び疑問が出てきたので、それを解決していった。更にその指導が終わったあとで天気予報をさせたところ、高気圧や低気圧の移動における天気は予想できたものの、冬型の気圧配置における天気図では、天気予報ができなかった。そこで今度は「四季の天気の特徴はどうなっているか」「台風はどうなっているのか」という疑問が出てきた。このように、『天気図を書き、その天気図から天気予報ができる』という目標を常に生徒に持たせながら、一つの課題に対して多くの疑問を持たせ、それを一つ一つ解決していくという学習方法を展開してきたのである。

また、指導計画の中で三回の課題順序選択学習を取り入れたが、これは生徒の希望により、自由に課題を解決する順序を変えて学習する方法である。この学習方法を取り入れたことによって、生徒は自分が今持っている疑問がすぐ解決でき、更に、新たな課題についても、生徒の関心の高い順に解決できることから、学習に対する取り組みが大変意欲的になってきた。

2) 課題を解決する方法を自分で見つけさせる。[第三回検証授業(生物どうしのつながり)における実践から]

この単元で学習する光合成については、小学校の段階で既に『緑色の植物は光を受けて自分でデンプンなどの栄養分を作る』ということを学んでいる。そこで始めに光合成の仕組みについて生徒に指導した。その後で、『本当に光合成は二酸化炭素と水を材料に光のエネルギーを使って、葉緑体でデンプン(有機養分)や酸素を作っているのだろうか』と逆に質問を生徒にぶつけた。生徒は始めはその質問に対して戸惑いを示したが、『実際に必要かどうかを調べてみるしかない』という結論に達した。その後『ではどうしたらそのことが確認できるか』を真剣に考え、やがて、幾つかの実験を自分たちで計画し実施した。その計画は六つの調査に全部で十八種類の実験が組まれたのである。例えば、「インジゴカーミン溶液を使って酸素を放出しているかを確認してみよう」とか「赤い葉や黄色の葉でも光合成ができるだろうか調べてみよう」と生徒が自主的に意欲的に取り組み始めたのである。この計画と指導過程の一部は図2のとおりである。

生徒は今回の学習のような、自由に課題を決めて学習していくこと一課題自由選択学習)に始めは戸惑いを感じていた。しかし、自分が一番解決したい課題を自分で考えた方法で解決できることから、次第に意欲を出して課題を何とかして解決しようと努力したのである。最後には生徒から「時間がもっと欲しい」とか「もっと別な方法でやれば成功したかもしれないのでやらせてもらえないか」という声まで聞かれ、今ま

 

図2 生物どうしのつながりの指導計画と指導過程(一部)

 

 

 

 


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