教育福島0144号(1990年(H02)01月)-016page
でになく自主的かつ積極的に取り組んでいた。
(3) 生徒の知識・理解の定着と自然に対する理解を深める評価の在り方を工夫する。
1) 基礎的・基本的事項を身に付けさせるための指導過程を工夫する
[第三回検証授業(電流と磁界)における実践から]
生徒に基礎的・基本的事項を定着させるために、指導過程に二つの段階を位置付けた。その一つは『本時の確認』であり、もう一つは次時の学習の始めに行っている『基礎の確認』である。つまり、授業の終わりに、本時のまとめを行ったあと、その確認を小テストなどで行うのである。またその時、今日の授業において疑問点や質問があれば書かせるようにした。その後、そのテストの結果を分析し「どこにつまずきがあるか」「どこが不十分であったか」を確認し、次の時間にもう一度復習してから、更にテストで確認したのである。これでも分からないところがあれば、昼休みや放課後に学習会を開催し、納得できるまで繰り返し指導し、基礎的・基本的事項の確実な定着を図ってきた。
2) 自然の事物・現象に対する理解を測定するための評価を工夫する。
[第三回検証授業(生物どうしのつながり)における実践から]
単元のまとめにおいて、生徒一人ひとりが自然の事物や現象に対する理解をどのくらい深めたかをみるために、小論文を書かせた。
次に生徒の論文の例を紹介する。
「今回の授業をうけ、植物についてあらためて考えさせられた。自分一植物)が育つための環境などを自分の力で作り出し、しかもそれを動物が生きるためにも使わせる。動物は植物の作り出す酸素や果実などがなければ生育できない。そういうことにあらためて気が付いた。あの小さい植物のしかも細胞の葉緑体の光合成によって栄養分を作っている。それだけにとどまらず、あらゆる気象まで作っている。子どもの頃はこの地球は人間がいるからこのようになっているのだと思っていたが、これは大きな間違いで、地球上の植物こそがこの地球を作っているのだと感じた。この大切な植物を私たち人間はいつまでも守り続けていかなければならないと思う。」(S・E君)
(二) 結果
研究の結果については、次の三つのことで評価を行った。「イメージテスト」(意欲や態度)、「自己学習能力のアンケート」(理科への取り組み)、更に「感想文」一意欲や取り組み)などによる評価である。
(1) イメージテストからみた生徒の変容。
表1は、三年になった四月当初のイメージと一学期を終えてのイメージの変化を示したものである。この結果をみても分かるように、七番の大切・不必要、更に、十五番の厳しい・ゆるいを除いた十三尺度で1パ−セントの危険率で有意差が認められた。これらの結果は研究の視点による解決策が有効に働いたことを示す意味ある転移であると考えられる。なお、このイメージテストについては一人ひとりの変容を知ることを目的として、個々の生徒の変化を表としてまとめ、個別指導の際の資料とした。
(2) 自己学習能力のアンケートからみた生徒の変容
表2のアンケートは先のイメージテストと同じ時期に実施したものである。評価の仕方は、一と二の段階が40計パ−セント
表1 理科の学習に関ずる「イメージテスト」
光合成の仕組みの解明に意欲的に取り組む生徒たち