教育福島0144号(1990年(H02)01月)-017page

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上であれば×、四と五の段階が40パーセント以上であれば◎、それ以外は○の三段階で評価した。

これらの結果をみて、全体に一と二の段階から四と五の段階に移動してきている。これは、解決策一研究の視点)が有効に働いたことを示している。特に、四番の項目の「学習することに楽しさを感じたり期待を持ったりして取り組んでいるか」ということについては、×から◎の方へ変化していることから、生徒は理科に対してかなり意欲を持って取り組んでいるものと考えられる。この結果から、生徒は理科に対して意欲を持つとともに、自己学習能力もついてきたものと考えられる。

(3) 感想文による評価

これは一時間一時間の授業でも、また小単元の終了後にもいつでも書かせるようにしてきた。ここでは、終了したばかりの「生物どうしのつながり」の小単元(動物の生活をささえる植物)での感想を一つあげてみる。

 

「授業のやり方は大変良いと思うし進め方も良いと思う。それに実験の方法や班の作り方なども好きなやり方なのでうれしい。今回生まれて初めて一人で実験に挑戦したので不安もあったが、一人だと人に頼らずできるので自分のために良かった。自分なりには大体良くできたと思う。今回の実験は楽しかった。」(M・Y)

 

六、研究の成果と今後の課題

(一)研究の成果

(1) 生徒が意欲を持って授業に取り組むためには、導入時における動機付けが重要な役割を果たしている。生徒が課題に対して疑問を持ち、それを解決していこうとする意欲を持たせることは大変重要である。

(2) 生徒が自然の事物や現象から課題を自分で見つけ出すことは、そう簡単ではないが、『課題順序選択学習』や『課題自由選択学習』を取り入れたことにより、生徒は自分たちで課題を解決していこうとする意欲を持つことができたと思われる。

(3) 生徒が理科を好きになるためには理科が分かるということが必要である。そのため、基礎的・基本的事項を定着させるために、授業において復習の時間やまとめの時間を、指導過程の中に意図的に位置付けてきたことは大変有効であった。

(4) 少人数並びに一人で学習する機会をできるだけ多く取り入れたことは、一人一人の生徒が自分の手で課題を解決しなければならなくなり、下位の生徒にも、自分で課題を解決しているということを実感させることができ、大変効果的であった。

(5) イメージテストや作文・感想などを書かせ、生徒の生の声を聞くことにより、教師自身の指導方法を修正したり、補充授業を実施するなどして基礎的・基本的事項の確実な定着に努めることができた。

(6) 生徒の個人個人のイメージの変化から、理科の学習に対しての個々の生徒の意欲や関心・態度などを把握することができ、その結果の変容に基づいて一人ひとりに対する指導方針を立て、指導することができた。

(二) 今後の課題

(1) 生徒の疑問の一つ一つに対応できるような教材研究や教材の開発を進めるとともに、生徒一人ひとりの興味や関心に合わせた多様な課題の設定を工夫していくような授業を行っていけば、生徒はより学習に意欲を持って取り組むと思う。

(2) 年間指導計画を作成するとき、始めから、生徒の活動の場を確保するための『課題順序選択学習』や『課題自由選択学習』を位置付けていく必要があると思う。

最後に、生徒を変えるには、教師自ら指導の方法を考える必要があるということをつくづく感じた。生徒が悪いのではなく、指導している教師が自分の指導の改善を図る必要がある。それでこそ、生徒が生き生きとして授業に取り組むことができるものだと思う。

今後も一時間一時間の授業を、そして、一人ひとりの生徒を大切に、努力していきたい。

 

表2 自己学習能力のアンケート

表2 自己学習能力のアンケート

 

 

 


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