教育福島0144号(1990年(H02)01月)-018page
特選入賞論文
小学校教育における
コンピュータの効果的な活用
−「学ぶ喜びを感得させる授業の創造」のために−
福島市立福島第四小学校 代表 校長 椿 薫
※本校のコンピュータ研究については、「教育福島十二月」においてもその概要を紹介した。重複する部分もあるが併せて参照していただければ幸いである。
はじめに
昭和五十六・五十七年度の文部省指定による教育課程の研究実践から学んだ、『児童の活動を重視した授業展開をすることにより、子ども一人一人に学習の成就感、達成感を味わわせることができる。』という指導理念は、本校教育がめざす、人間性豊かで、強い意志力と自立的な精神に満ちた『自ら求める子ども』を育成するための基盤となるものであった。
この成果を更に発展させるとともに、他教科にも転移させながら、『自ら求める子ども』の育成を、より広い角度から推し進めることをねらい、「学ぶ喜びを感得させる授業の創造」を新たな研究主題として設け、昭和五十八年度から研究を開始した。更に、昭和六十二年度に、福島市教育委員会からコンピュータ研究校としての指定を受けたのをきっかけに、コンピュータの活用という視点から研究主題の解明に当たってきた。
一、研究への取り組み
(一) 研究主題
小学校教育におけるコンピュータの効果的な活用−−「学ぶ喜びを感得させる授業の創造」のために−−
(二) 研究の構想
1 研究のねらい
来たるべき情報化社会を生き抜く子どもたちを育成するためには、一人一人に、様々な情報や情報手段を主体的に選択し、活用できる能力を身に付けさせることが必要である。そこで、コンピュータに慣れ親しませるとともに、本校教育がめざす、人間性豊かで、強い意志力と自立心に満ちた「自ら求める子ども」の具現を図るために、小学校教育におけるコンピュータの効果的な活用の在り方を工夫するものである。
2 研究の見通し
1) コンピュータを問題解決の方法・手段のひとつとして学習活動の中に位置付け、その特性を踏まえた活用を工夫することによって、「学習速度の違い」「興味や関心の違い」「学習スタイルの違い」などに対応した学習活動、つまり子ども一人一人に応える学習活動の場を構成することができるものと思われる。
2) 更に、それ以外の教育活動においてもコンピュータの活用場面を積極的に取り入れることによって、コンピュータを身近なものとしてとらえ、様々な場面でコンピュータを主体的に活用できる能力と資質を培うことができるものと思われる。
3 研究計画
1) 研究の視点・内容
a 学習指導における効果的な活用
【学習場面に応じた活用】
・資料の提示の手段・方法として
・問題解決の手段・方法として
・基礎的・基本的内容の定着のために
【学習形態に応じた活用】
・グループでの活用
・一斉授業での活用
b コンピュータリテラシーの育成
【発達段階に応じた認識、操作技能】
・「ロゴ」言語を用いての学習
・音楽的な活動、図工的な活用
【特別活動、その他の場面での活用】
・コンピュータクラブ
c 教育支援、教育管理面での活用
・学習資料や図書の検索
・各種データ処理
・児童管理、及び備品管理、教務管理
楽しくコンピュータに取り組む子どもたち