教育福島0144号(1990年(H02)01月)-021page
パソコン通信を用いて、自分の学校の様子を他の学校の友達に知らせたり、他の学校の様子を知ったり、情報のやり取りという面にも、活動が広がってきている。
(三) 教育支援・管理面における活用
1 教育支援
授業の中で直接用いなくとも、児童の活動を側面から援助できるようなコンピュータの活用も大切にしている。
1) 図書の検索
児童が読みたい本をすぐ探せるような、あるいは調べたいことがどの本に書いてあるのかがすぐに探せるようにと作成したのが、「図書検索システム」である。
学級指導や図書委員会の活動にもこのシステムが用いられ、子どもの読書への意欲付けが図られている。
2) 理科室探検
理科では、子どもたちが実験を進めるときに、実験器具などがすぐに探せるようにと、「理科室案内のためのソフト」を教材作成支援ソフトを用いて作成した。児童だけでなく、教師が必要な器具などを探すのにも十分耐えられる内容をもつソフトであり、学年に応じた活用が工夫されている。
2 教育管理
1) 各種データ処理
成績処理やスポーツテストの集計処理、保健管理などにもコンピュータが活用されている。
スポーツテストの集計については、全職員がそれぞれの学級のテストのデータを打ち込み、その結果を考察している。成績処理にしても、スポーツテストの処理にしても、単なる数値だけではなく、棒グラフやレーダーチャートなどに表すことによって、より具体的な判断資料を得ることができた。
また、保健管理については、身長や体重、胸囲、座高はもちろんのこと、疾病歴や欠席日数など、その子の健康状況に関するあらゆるデータが入力され、児童一人一人の健康管理に大いに役立っている。
2) 児童名簿、文書管理
教員のリテラシーを高めるという意味からも、ワープロソフトを様々な場面で活用している。研究集録の作成を全員で分担したのをはじめ、児童名簿や行事予定表、会議の提案資料などはすべてワープロソフトを用いて作成し、データとして蓄積しておくことにしている。学校は、定型的な文書の計画書が多い。変更される部分を入力し直すだけですぐに使え、時間の面でも労力の面でもたいへん効率的である。
名簿管理では、検索機能が十分に活用できることが大切である。同じ町内の児童だけを抽出してプリントアウトしたり、学級編成のために名簿をやりとりしたりするためには、有効である。
三 研究の成果と今後の課題
(一) 学習指導における活用
1) 一人一人の学習速度の違いや、ものの見方や考え方など、学習スタイルの違いにも応えることができるという確かな手ごたえを得ることができた。
しかし、台数の関係から、一人当たりの活用時間確保の問題や、グループ構成の問題など、一人一人に応えるということと容易に相容れない問題も浮上してきている。
2) 教科の特質に応じて有効な活用場面を想定し、実践してきた。コミュニケーションの場の確保、思考の流れに応じた活用、現在の教師の技術などを考え合わせると、より必然性のある場面での活用が求められる。
(二) コンピュータリテラシーの育成
1) 「ロゴ」活動は、児童一人一人の主体的な取り組みを自然に誘発する活動であった。同時に、創造力や表現力を培える可能性を秘めている。
これまでの実践経過を踏まえ、学年に応じた活動内容を具体化していくことが大切である。
2) 児童のリテラシーの育成と同時に、それを支える教師集団のリテラシーの育成も大きな課題である。教材作成ツールの活用や学習場面に合った市販のソフトの効果的な活用を工夫するなど、専門的な知識がなくとも、誰にでもわかるようなかたちでのコンピュータの導入が求められる。
(三) 教育支援・管理面における活用
1) 「図書検索システム」や「理科室探検」などは、児童の学習活動を側面から支援するという意味で、また子どものリテラシーを育成するという意味でも極めて有効である。今後このような誰でもが、簡単に、長期間に渡って活用できるシステムを考えていくことが必要である。
2) 教育管理面におけるワープロの積極的な活用をはじめとして、校務運営や研究推進など様々な場面で、コンピュータの持つ特性が十分に発揮できるような活用を工夫し、校務の効率化を考えていきたい。
ロゴを用いた児童の作品