教育福島0144号(1990年(H02)01月)-023page

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象への興味・関心を高める。

(三) 絵画表現の場では、それぞれの幼児の表現を尊重し、幼児の言葉で感動を掘り起こしてイメージ化を図り、表現への意欲を支えるようにする。

○ 様々な活動の場面で、イメージ化につながる幼児のつぶやきや会話をとらえるようにする。

○ 絵画表現の場であっても、言語表現や身体表現、生活指導や友達関係の指導など、様々な要素が絡み合う総合的な指導の場であることを踏まえ、一人一人の幼児に即した援助により、表現への意欲を支える。以上を基本とし、日常の生活体験を充実させた保育を展開する中で、そこから生まれる絵画表現の活動に取り組んでいく過程をとらえていく。

 

四、保育の実際

 

絵画表現の活動にかかわる一年間の保育活動(資料省略)の中から、次に三つの実践の例を紹介する。

[実践例1カエルと遊んだ経験から(五月)]

=活動の様子=(資料1参照)

木登りをしていてカエルを見つけたことから、園外へ出かけてカエルを探したいという気持ちが高まった。

このような幼児の思いを表現させていくということは保育の基本であるが、幼児が言い出したことをすべて実現していくわけにはいかない。興味の強さやどれだけ多くの幼児が欲しているか、幼児なりの見通しを持っているか、などからこの活動を取り上げた。

園から歩いて一分程の水田へ、連日”カエル捕り探険”に出かけた。捕ってきたカエルは、最初たらいの中に放すが、カエルの動きを見ているうちに、自分の方に泳いできたカエルを「ぼくの所に来たかったの?」と、小さなバケツに移し、手の平にのせたりテラスに放したりしてカエルと遊び出す。

教師は、幼児のカエルに馳せる思いを味わうつもりで幼児の言動にうなずき、微笑み、動きを真似たりして、幼児の心に触れようと努めた。

カエルをいやがって近寄ろうとしなかった幼児たちも興味を示すようになった頃、学級全体の場で、「牛とカエル」の童話を聞かせた。カエルの腹が大きく膨らんだ場面で、「どれくらい大きくしたんだろうね」と、問いかけたことから、「大きい紙ちょうだい。かいてみせるから」と、自然に絵画表現の活動に発展していった。

=反省・考察=

〇 幼児の興味が十分高まったチャンスをとらえ、幼児の要求に応える形で、幼児が見つけた場所へ繰り返し出かけたことや描画材料・用具を提示したことなどから、幼児は、教師を自分たちの願いの実現を助けてくれる存在であることを強く感じたようで、自分たちのやりたいことをためらわず教師に誘いかけてきた。

○ 教師の話した童話が、それまでの遊びの体験と重なって、はっきりとイメージを描くことができ、心に響いたこと、更に、初めて絵の具で描くという新しい経験に興味を持ったことの二点が、進んで取り組めた大きな要因であった。

○ 絵画表現の場では、教師が積極的な援助を行わなくても、幼児自身が楽しんで描き進めていた姿から、表現活動の基盤となるのは、楽しく豊かな日常生活であることを感じた。[実践例2運動会への取り組みをとおして(十月)]

=活動の様子=(資料2参照)

最初は、教師が中心になって幼児の

 

作品「大きなおなかのカエルさん」

資料1 イメージ化につながる幼児のつぶやき・会話

資料1 イメージ化につながる幼児のつぶやき・会話

 

 

 

 


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