教育福島0144号(1990年(H02)01月)-024page

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発言をまとめ、方向付けをした。

全員がリーダー役を経験するように決まったことから、今まで目立たなかった幼児が意外な力を発揮し、友達から認められたり互いに得意なものがあることに気付いたりしていた。また、役に合ったやり方を考え出す中でも、励まし合い認め合う姿が多く見られた。

パン食い競争は、食べる真似をしての練習だったので、当日は、うまく食べられない友達のためにパンが動かないように持ってやったり、「ほっぺたで止めなぁ」「歯に力を入れるんだぁ」と、大声援になり、大変な盛り上がりだった。

翌日、登園すると運動会の様子を思い出して話をしていた。「パンと皆の口ではどっちが大きかったの?」「先生は、ほら、こんなに大きく開けられるよ」と、思いきり口を開けて見せたりするうち、「そんなの小さいよ」「ぼくの口はこれくらいだったよ」「かいて教えてあげる」と、描き出した。

教師は、幼児たちからの「先生、これ!」と言う言葉にうなずいたり、表現内容の豊かさに驚いて見入ったりするだけの動きになってしまった。しかし、それが、共感を持ってそれぞれの幼児の表現を受け入れる姿勢であることに気付いた。

=反省・考察=

〇 誕生会の進行を少しずつ幼児にまかせてきた。それが素地となり、幼児がリーダーになって進めることに対して全員の幼児が共通のイメージを持てたことや、グループを家族に見立て、少人数の中で協力し合って活動を進めてきた経験が生かされ、幼児は、自分たちの手で自分たちの願いを実現していく楽しさを十分味わうことができたように思われる。

このことから、一つの経験が他の場面で生かされ、そのことが別な活動の基盤になるといった活動の関連性を見通して、園生活づくりを進めることの大切さを痛感した。

○ 幼児からの相談を、周囲の幼児や学級全員の幼児に投げかけ、解決策を考えるという姿勢で対応してきたことは、幼児に”自分たちでやらなければならない”という意識を持たせることにつながっていることが、話し合いの場面で強く感じられた。

○ パン食い競争で味わった感動がとても強かったようで、描画への取り組みに抵抗を示す幼児は見られなかった。他の種目でも心を揺り動かされる場面はあったと思われるが、造形的な要素を考えると、パン食い競争にスポットを当てたことは適切であったと思われる。

[実践例3 「ブレーメンの音楽隊」を聞いて(二月)]

三十三ぺ−ジへ続く

 

資料2 運動会への取り組み

▼作品「パン食い競争」

▼作品「パン食い競争」

 

 

 

 


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