教育福島0144号(1990年(H02)01月)-031page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

ない」という言葉も、今になってようやくわかってきたような気がする。

同じく、このごろ「心配して言うことには耳を傾けるべきだ」という高校の先生の言葉を思い返している。あの頃、「人は立場を忘れてはいけない」という言葉に、大人との隔たり、反発を感じたものだった。

 

高校生は不安定な時期であり、私の経験不足もあって、計り知れない面がある。普段は反抗的な生徒が、放課後驚くほど快くあいさつをしたり、遅れて課題を出しに来た生徒が、「考えが甘いと反省している」と思いがけなく素直であったりする。生徒自身は、自分の良いところなど気付かずにいることが多い。良い面は良い面として、しっかり見て行かなければならないとつくづく思う。

授業で、自分はひどくあがっていると思ったことが一度ある。机間巡視の際、生徒たちの後ろ姿を見た時である。その存在感に圧倒されそうだった。今すぐにわからないことも、本当に大事なことはいつかわかる時がくると、そんなことを思った。

 

秋のある朝、いつも見るマルメロの木に実がなっていた。マルメロとかりんはどう違うのかという話になった。

次の日、職員室の机の上にかりんの実が一つ置いてあった。私がかりんの実を見たことがないと言ったので黙って置いてくれたのである。新採用教員として着任して以来、いつもこうして教えられ、支えられて来たのだと改めて思う。

カマキリの巣が下の方にあって、今年も雪は少ないだろうと言う。こうして二年目の冬を迎える。

(県立坂下高等学校教諭)

 

二つの教え

松井博次

きた自分の姿勢に恐れを抱きつつ、転勤して八か月を経過しようとしています。

教職歴二十年という肩書はあるもののなにひとつ自分が誇れるものや満足いく指導ができたという実感もなく、教育という職に携わってきた自分の姿勢に恐れを抱きつつ、転勤して八か月を経過しようとしています。

そんな自分の心を戒め、決意を新たにしてくれる教えを朝夕に巡視する校舎のある場所に在る一枚の額、一枚の掲示物からみつけました。その前に立つと胸が高なり、身心ともに引き締まる思いがします。その一枚の額には、

「この道より、ほかに我を生かす道なし、この道を歩く。」と記されています。

このことばは、「教育者として生きるべき心を失った人は去りなさい。続けるなら、日々、努力し新時代にも対応できる知識・教養を身につけた真の教師になりなさい」と語りかけ、初心忘るべからずといっているように思えてなりません。

こそ成しとげられたことで、健康に不安のある現代人への提唱とも思いました。

もう一枚の掲示物には「ひみこのはがいーぜ。」と書かれてあります。これは保健室に入るとすぐに目につくところにはられてあります。このことばは学校食事健康会提唱「カミカミ健康法」のスローガンだったのです。社会科の好きなわたしには、邪馬台国の女王ヒミコを思いだしました。歴史上に名を残すヒミコは、不死鳥、つまり、健康であればこそ成しとげられたことで、健康に不安のある現代人への提唱とも思いました。

健康なからだ強い精神力、今のわたしには最大の教えです。

また、わたしなりに別の意味でとらえると、「和の教育」、「心のひびきあいの教育」、「誠意の教育」が重要であり、次のようにもとらえました。

ひ……ひとりの力より

み……みんなの力で、

こ……こどものことを考えて、

の……能力・個性を伸ばすため、

は……話し合い、語り合い、

が……がまん強く

い……一歩一歩前進することが

い……よいこどもを育てるための

ぜ……絶対条件である。全力投球。

 

この二つのことばの解釈の仕方は千差万別であるが、反省期に入ってしまったわたしには、今後の進むべく道を提示してくれたすばらしい宝物です。

今後、自分を磨き、人の力を伸ばし心のわかる教師となるよう努力します。(本宮町立本宮小学校教諭)

ぜ……全力投球

ー……

い……胃腸快調

が……ガン予防

は……歯の予防

の……脳の発達

こ……言葉の発言

み……味覚の発達

ひ……肥満の防止

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。