教育福島0144号(1990年(H02)01月)-032page

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育てる喜び

玉川孫一

業を担当することになった。三年生の授業には秋ギクの栽培が計画されている。

 

新任校にきて初めて技術家庭科の授業を担当することになった。三年生の授業には秋ギクの栽培が計画されている。

キクの花を見ているものの、私にとって栽培を行うのは初めてである。教科書には、一、秋ギクの栽培計画、二、栽培の方法、(一)さし芽、(二)鉢あげ、(三)摘しん、(四)誘引、(五)鉢がえ、(六)摘芽摘らい・輪台つけの手順で、作業過程が簡潔に述べられている。しかし、言うはたやすいが実際にはむずかしいものである。さし芽はどうすればよいか、土は何が最適かなど困惑するばかりである。幸いにも、用務員さんがキク栽培に明るいと言うことで手助けを受け、どうにか生徒たちとさし芽を行うことができた。うまく根付くかどうか不安だったので、百数十本と数多くさし芽をすることにした。かん水、日よけと手を加えた結果、三週間後にはさし芽は全部勢いよく根付くことができた。この作業を通して、鹿沼土や発根剤がどんなもので、どのような働きをするのかを、生徒とともに理解することができた。

いよいよキクの鉢あげである。教科書を片手に腐葉土や赤玉土、鹿沼土を混ぜ合わせて培養土をつくり、十八名の生徒と一緒に約百本のキクを鉢あげした。

当番を決めて毎朝鉢にかん水、キクが倒れないように支柱立てをしたり、三本仕方てのための誘引を用務員さんの手助けを受けて行った。ていねいに枝の形を整えたり、つぼみ摘みをしたり、消毒などの手入れを生徒とともにまめに行った。しかし、その効果も少なく九月上旬に、青ムシやアブラムシが大発生して葉を食い荒らし、キクをすっかり弱らせてしまった。あわてて生徒と必死になって消毒を繰り返した結果、どうにか害虫を駆除することができた。駆除できたと安心する間もなく、生徒のY君が「先生、僕のキクの鉢だけつぼみが小さ過ぎて、輪台つけができるか心配です。どうしたらよいですか」としょげて言ってきた。たしかに、Y君のキクだけが背たけの割につぼみが小さかった。その原因は、Y君の鉢の置き場所が外燈の近くであったことで、そのために短日性のキクは開花が遅れてしまったのだった。そこで、Y君と一緒に鉢を外燈の光の届かない所に運び、かん水を多くすることにした。

十月下旬の文化祭には、Y君のキクも立派に大きい花をつけ、約百鉢のキクとともに廊下に展示することができた。赤、白、黄の色とりどりの美しい大輪のキクを生徒とともに観賞し合った。生徒の「いや一きれいだなあ」と歓喜する声を聞いたとき、キクづくりの喜びをしみじみと感じることができた。来年度もまた、生徒とともに丹精込めて今年以上のキクづくりに励みたいと思う。この経験がやがて、生徒の将来の生活に潤いを持たせてくれることを信じつつ……。

(田島町立檜沢中学校教頭)

環境と文化に関する意見の募集

 

環境と文化に関する意見の募集

環境庁では、平成元年十二月から平成二年半ば頃までを目途として数回にわたり、「環境と文化に関する懇談会」を開催します。懇談会では、各界の有識者が、人間と環境との関係のあるべき姿について議論することになりますが、この議論の参考とするために、広く国民一般から環境と文化に関する意見を次のように募集しています。

○課  題特に規定しない

○提出方法 意見等を手紙又は、葉書きで左記あて郵送する〒一〇〇千代田区霞が関一−二−二

環境庁「環境と文化」係

○提出〆切 平成二年二月末日

○問い合せ先福島県保健環境部・環境保全課環境整備係(内線三六七四)あるいは、前記の提出先(◆〇三−五八〇−一二七三又は一二七四)

 

 

 


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