教育福島0144号(1990年(H02)01月)-037page

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親の無関心」(二十五パーセント)、「兄弟間で互いに励まし競い合う機会の不足」(二十五パーセント)が比較的多くあげられているようです。

「親に対する子どもの信頼感の低下」をあげた未婚者が多いのも目立ちます。

現代は都市化や核家族化の時代であると先に述べましたが、加えて機械化や情報化、国際化、高学歴化の傾向が著しく、精神面では価値観の多様化が進んでおります。人々の生き方もまた百花繚乱の時代といえます。

こうした時代背景の中で、改めて家庭教育の重要性を認識し、家庭のもつ教育機能の回復とその充実を目指して、県では家庭教育に関する学習機会の拡充を図るとともに、家庭教育指導資料の作成や指導者の育成、家庭教育に関する情報提供、電話等による相談体制の拡充に努めてきました。

以下にその主な事業を紹介し、県や市町村における家庭教育推進上の対応と今後の課題等についても考えてみたいと思います。

 

二 県の家庭教育への対応

(事業とこれまでの成果)

 

(一) 家庭教育学級の拡充

 

各市町村における家庭教育学級の開設は五百三十学級で、学級生はおよそ三万二千人です(平成元年十月現在)

対象別学級では、小学生をもつ親を対象にした学級が全体の半数近くを占めており、今後は”明日の親”や”思春期の子どもをもつ親”を対象にした学級の開設促進が求められております。

 

(二) すこやか家庭教育相談事業の充実

ア 「すくすく通信」一育児資料)の作成・配布

○乳幼児をもつ親を対象に、子育てや家庭教育に関する不安や悩みを解決するための手引書として育児資料を作成し、活用に供しています。

この資料(すくすく一歳、二歳、三歳、四・五歳)は、県内の保健所や役場などでの乳幼児の定期健診の折に配布しております。

今回作成した「すくすく四・五歳」の一部を次に紹介します。

 

Q 幼稚園の先生から「ことばが少し遅れているのでは」といわれて不安になったのですが。

 

ことばの発達の遅れといっても「語いが少ない」「ことばが文にならない」「先生のいうことを理解していない」「会話にならない」「まだ、幼児語が残っている」などがあります。ですから、この年齢段階に期待されることばの発達の水準で、他の人との交流がうまくいかない子どもも多くの中にはいるものです。

また、友だちと遊ぼうとしないために、ことばの発達が遅れることもあります。

まず、子どもの側の問題としては、難聴など身体的要因が考えられます。早い機会に小児科医の診断を受けるようにしましょう。

さらに環境や心理的な問題もあります。親は子どものはたらきかけに心よく応えてやること、ことばで伝えようとする意欲や努力を大切にしてやること、絵本を読んでやったり、お話をしたり、一緒に遊ぶことを通して、質的に豊かな経験ができるようにしてやるなど、ことばを獲得していく過程に必要な条件を可能な限り整えてやることが大切でしょう。

 

イ  「子育てセミナー」の開催

 

○子育てや家庭教育に関する不安や悩みの解決援助のための学習機会として、シンポジウムや話し合いを行います。また、同時に心理カウンセラーや家庭教育電話相談委員を相談員に、個人やグループ毎の巡回相談も実施します。

今年度の開催は表1(次ページ)のとおりでした。

この中から、第3回の中島村会場の概要をご紹介します。

午前の部では、「わたしの子育て作戦−頭のよい子か生格のよい子か一」と題してシンポジウムを行いました。この中で、学歴偏重主義といわれる現在の社会について、山崎委員は「女性は学歴社会の恩恵をあまり受けていない」と述べています。緑川さんも「これからは学歴より実力が問われる時代になる」と訴えました。

また、大宮助教授は「今の子どもたちは自分自身に自信がもてないように育っている」とし、「子どもに自信をつけさせるような教育が必要になる」と強調されました。

午後の分科会では、「子どもの成

 

子育てについて意見を交わす(子育てセミナー)

子育てについて意見を交わす(子育てセミナー)

 

 

 


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