教育福島0146号(1990年(H02)04月)-007page

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の枠組みに組みこまれて、戦後第二の教育改革といわれる「生涯学習体系への移行」のための機関としては、残念ながら十分機能していない。また、首長部局も教育ヘの政治介入を避けるという意味からか、教育委員会とは教育活動についてあまり論議がないのが実状である。いわき市の事例からも、幅広い市民からなる教育を抜本的かつ、総合的視野から考える懇談会を設置するのは有効な方法と思う。いわき市では、教育懇談会の提言が教育行政推進の要になっていると聞いている。

私達は、議論を進めるために、いくつかの公民館の実態調査をし、館長と話し合い、利用者の意見も聞いた。今、公民館は一部利用者だけのカルチャーセンター化し、場所貸し業になっているのが実状である。農村部の市民が強く望んでいるのはムラおこしであることも分かった。

社会教育部会は、このテーマに関して次の様に提言した。生涯学習社会の到来にあたって、生涯学習の体系化を図り推進すること。公民館を生涯学習の拠点と街づくりの拠点として位置付けること。行政支所と公民館は併設にして、公民館長が支所長を兼ねることなど。

いわき市は、昨年四月の機構改革にあたって社会教育課を生涯学習課に変身させた。本年度は、生涯学習推進本部の設置も予定されている。

問題はむしろ今後である。生涯学習を狭い意味での教育の視点だけでとらえる様なことがあっては、従来の社会教育への後戻りである。生涯学習社会では、教育が知識教育の範囲にとどまることなく、人づくりであり、街づくりにつながるものであり、未来に向けて変化し、発展させていくべきものである。生涯学習、それは豊かな社会、人生八十年時代の生き方そのものであろう。

 

生涯学習社会へ向けての提言を行う筆者(平成元年度第2回教育広聴会にて)

 

 

 

 


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