教育福島0146号(1990年(H02)04月)-016page
特集2
自己をみつめ、自らを高める道徳教育の推進−義務教育課−
はじめに
今回の学習指導要領の改訂に当たっては、道徳教育の現状を踏まえ、よりよい生き方を求め実践するという観点に基づき、大幅な改善を行った。それは、道徳教育の内容の再構成と重点化を図り、家庭や地域社会との連携を深めて、学校教育活動全体を通じて行う道徳教育の充実を図ることである。
児童生徒の意識や行動は年々多様化し、いじめ、登校拒否、自殺、社会規範の欠如等の病理的現象が顕著に見られるようになった。
これら児童生徒の問題行動の解決を図るためには、「豊かな心をもち、たくましく生きる人間の育生を図る」ことをねらいに、今後「人間としての在り方生き方についての自覚を深める道徳教育」の推進に努めることが、特に望まれている。
資料1 N中学校の年間指導計画(一部)
一、道徳教育の課題解決のための内容項目の取り扱い
本県においては、各小・中学校とも、道徳教育の全体計画、年間指導計画の作成に努め、新学習指導要領に即した道徳教育の展開を図っている。しかし、今回の改訂の本旨からみて、必ずしも十分とは言えない状況である。
各小・中学校の道徳教育の課題にそって、道徳教育の充実に努めることが重要であるので、その観点を述べてみる。
(1) 児童生徒、学校、地域の実態、教師および保護者の願いなどの実態を踏まえ、教育目標具現化の視点から道徳教育の課題を明確にしたか。
(2) 学校の道徳教育の重点目標、学年ごとの指導の重点・内容の検討が児童生徒の発達段階に即して行われたか。
(3) 重点的指導事項を設定するに当たって、学習指導要領改訂の趣旨を生かす配慮がなされたか。
二、学校教育全体で行う道徳教育
道徳教育は、児童生徒が生活するすべての場面で行われることが基本であり、学校での全活動を通して、児童生徒や地域の実態に即して、計画的、具体的に指導されなければならない。そのためには、諸計画の整備を図る必要がある。
1.機能する全体計画
道徳教育は、道徳の時間の指導はもとより、各教科、特別活動、その他の場と機会のすべてにおいて行われることが大切である。そのため、道徳教育の展開に機能する道徳教育の全体計画の改善・充実が望まれる。
全体計画の内容は、各学校独自に作