教育福島0146号(1990年(H02)04月)-017page
成するものであるから、特定の形式はないが、安易に図式化のみで終始することのないようにし、次の事項を含める必要がある。
(1) 教育関係法規、時代や社会の要請
(2) 実態と発達段階、教師や親の願い
(3) 学校の教育目標、道徳教育の重点目標、各学年の重点
(4) 道徳の時間の指導方針
(5) 各教科、特別活動、その他の教育活動との関連
(6) 学校、学級の環境との関連
(7) 家庭、地域社会との連携
これらは、学校の教育課題に添って、実践可能な内容で具体性をもたせたものでなければならない。
例えば、教科指導においては、教科のねらいを達成しながら、どの単元でどの様な価値と関連させていくか等、具体的な位置付けが大切である。
2.活用される年間指導計画
道徳の時間の指導においても、各学校の年間指導計画の内容、活用の在り方が、授業の質的向上、充実に大きな影響を及ぼす。従って、常に各学年段階ごとに検討を加え、実施の結果を改善に役立て、内容の充実を図る必要がある。
そこで、年間指導計画が、道徳の指導に活用され、生きて働く計画となるためには、次の点に留意して改善、充実を図りたいものである。
(1) 年間指導計画には、次のものを含むようにする。
ア 主題名とねらい
イ 主題構成の理由あるいは観点
ウ 資料
エ 展開の大要及び指導の方法
オ 指導の時期
(2) 各指導内容は原則としてどの学年においても取り扱い、課題の解決に必要とされる内容を重点的に取り上げ、また、いくつかの内容を関連付けて指導できるよう配慮すること。
(3) 各学年における重点的な内容は、配当時間を多くするなどして、重点化を図ること。
(4) 資料選定に当たっては、読み物資料に偏ったり、VTR等の教材の無意図的な視聴にならないよう、指導の効果が上がる配慮をすること。
(5) 指導計画は、ねらいに即して、三年間又は、六年間を見通したものとし、系統的な関連や発展性を十分に配慮すること。
前ページに掲げた資料1は、N中学校の年間指導計画の一部である。留意点、第二資料の扱いに工夫が見られ、望ましいものとなっている。
資料2 道徳的価値の主体的自覚を図る基本的指導過程
(昭和63年度 道徳教育校長等指導者養成実践講座 都道府県資料P10)
三、道徳の時間の指導
道徳の時間における指導は、道徳教育の目標の実現を目指し、計画的、発展的な指導を通して、各教科や特別活動等における道徳教育の「補充、深化、統合」を図る場である。
そのねらいは、道徳の時間の指導を通して児童生徒の道徳的実践力を高めることを目ざしている。
このことは、道徳の時間は「自己を見つめる時間」であるという言葉に端的に表現されている。
資料3 指導過程の基本型
1 道徳の時間の問題点
道徳の時間の指導については、次の視点からの反省、改善する必要がある。
(1) 教師の一方的な価値の押し付けになっていないか。
(2) 児童生徒の生活経験とあまりにも遊離した抽象的な指導となっていないか。
(3) 一部の児童生徒を対象とした授業になっていないか。
(4) 指導過程が固定化し、弾力性を失っていないか。
(5) 道徳の時間の指導が、特別活動の「学級活動」になっていないか。
2 道徳の時間の基本的な指導過程
道徳の時間の指導が成立するためには次の二つの要件を満たす必要がある。
(1) ねらいとする道徳的価値を資料を通して追求し、より高められた価値として把握すること。
(2) より高められた価値観に照らして