教育福島0146号(1990年(H02)04月)-018page

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みて、今までの自分はどうであったかを見つめること。

資料2、3(新道徳教育実践講座1)「自己をみつめる」前文部省視学官、瀬戸真編著より)は、道徳の時間の基本的な指導過程を表したものである。

この基本型を参考として、各学校は児童生徒の実態に応じて多様な指導過程を工夫し、指導の効果を高めるよう研究実践を積み重ねることが必要である。

 

3 生きた道徳性の評価

道徳性の評価に当たっては、次のことに留意することが大切である。

(1)子どもは、よく生きようとしているという信念をもち、成長しようとしている点を重視して、客観的なデータから子どもをみる。

(2)一定の基準による評価も大切であるが、個性が生きる評価の工夫をする。

(3)道徳教育の成果は、日々の生活の中に表れてくるものであり、児童生徒の変容を長期的展望に立って地道に把握する必要がある。

以上の点に留意しながら、道徳の時間や各教育活動を個別的に分析し、指導過程の中で適切に評価することが大切である。

 

四 家庭及び地域社会との連携

 

新学習指導要領で、学校が家庭や地域社会と連携して指導を進めるための考え方として、(1)学校と家庭、地域社会との協力体制をつくる。(2)相互に理解し合う。(3)相互に役立つ。の三点をあげていることからも、連携して指導することが大切である。

連携を図る取り組みには「家庭との連携」「地域社会との連携」が考えられるが、具体策については、学校や地域の実態に応じて創意工夫が望まれる。

 

〈おわりに〉

 

今後は、道徳教育の目標にあるように、教育の根本精神に基づいて、人間尊重の精神を基盤に「心豊かなたくましい人間」の育成を目ざし、道徳教育の一層の充実を図っていかなければならない。

そのため「豊かな体験」を通して育成された道徳性が、日常生活における道徳的実践にまで高まるよう、指導を展開していくよう望みたい。

 

次に紹介する須賀川市立第一小学校と会津坂下町立第二中学校は、文部省の指定を受け意欲的に研究を推進している学校で、ともに、学校、家庭、地域との連携による道徳教育の推進をテーマに研究に取り組んでいる。いずれの研究実践も、道徳教育の今日的課題に積極的に取り組んだすばらしい実践例である。

二校の実践例を参考として、各学校においても、日常の道徳教育の一層の充実を図るよう期待します。

 

思いやりの心をもち、自ら進んで実践できる子どもの育成

−学校と家庭の連携を深める中で−

須賀川市立第一小学校

 

一 主題設定の理由

 

学習指導要領の改定に伴い、「生命に対する畏敬の念」及び「主体性のある日本人の育成」に主眼をおき、本校教育目標の総括目標を「思いやりがあり、しかも、自らの力を発揮して最後までなしとげることのできる心身ともに健全で、豊かな人間性をもつ子どもの育成」とした。その具体目標に「すすんで勉強する子ども」「思いやりがあり助け合う子ども」「よく考え実行する子ども」「たくましく元気な子ども」の四点を挙げて種々の教育活動に当たっている。

また、地域、児童の実態及び父母、教師の願いから、今、本校に求められる道徳教育の課題を考えたとき、自他の人格尊重を基盤とし「思いやりの心」を育むとともに、基本的生活習慣を中心として「自ら進んで実践できる子ども」を育成することが急務であると考えた。加えて、道徳教育の充実を図るには、学校だけの努力では必ずしも十分でなく家庭との連携が不可欠であると考え、本主題を設定した。

 

二 研究主題についての基本的な考え

 

「思いやり」とは「人間として平等な立場で相手のことを考え、行動すること」ととらえ、児童の具体像を次のように考えた。

(一) 「思いやり」のある子どもとは、単に人にやさしくするというだけでなく、人間として平等の立場に立ち相手のことを深く考え行動しようとする子どもである。

(二) 自ら進んで「実践」できる子どもとは、道徳の時間で培った道徳実践力を日常の実践に結びつけられる子どもである。

(三) 学校と家庭との「連携」のめざす姿は、道徳的価値について、学校と家庭が共通意識をもち、同一歩調をもって子どもの指導に当たることである。

 

三 研究仮説

 

基本仮説

学校と家庭との連携を図り、道徳の時間や道徳的実践の場を通して、心の教育を計画的に推進

 

 

 


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