教育福島0146号(1990年(H02)04月)-022page
方々と連携を図り、生涯教育に役立て人生の生き方教育に一歩迫りたいと考えて研究に取り組んだ。
授業の中でのグループの話し合い
五 研究の実践
(1) 授業研究部
1)研究のねらい
研究主題に迫るためには、学校教育活動全般、更には、日常生活における道徳教育が、それぞれの特質に応じて行われなければならない。授業研究部では「道徳の時間」を充実したものにし、内面的なものである道徳的心情、判断力、実践意欲および態度の向上を目指した。
2)実践内容
ア.全体計画と年間指導計画の改善
教育目標の具現化を図るため、道徳教育との関連や焦点化を図り、重点目標、努力目標、評価の観点を一覧表にして研究を進めた。さらに、各領域等の重点指導内容を明確にし、指導の一貫性も図った。また、道徳教育は、家庭・地域社会の協力が特に必要であるため、家庭・地域社会との関連を全体計画に取り入れ、充実した道徳教育がなされるように工夫した。
イ.展開の大要の作成
授業展開のおおよその見通しを立てることにした。特に工夫した点は、他領域、家庭・地域との関連について記入したり、授業の実践状況、反省の欄を設けたりし、次年度の授業に生かせるようにしたことである。
ウ.指導過程の工夫
指導過程は、本来、各学校や一人一人の教師が、学級の実態や主題に応じて、自らの工夫によって構成するものである。本校では、独自の基本過程を作成し、主題のねらいを生徒一人一人が自主的に自覚、追求し、内面化が図れるような指導過程にした。特に展開では、価値の追求、自己を振り返らせる部分を必ず取り入れた。さらに、家庭との連携を図るための配慮事項を設け、指導の手だてを明確にした。
エ.資料の活用と吟味
年間指導計画においては、資料として読み物資料を扱うことを中心にしながらも、学級、生徒の実態に応じて、別な資料を使用することができるようにした。各学年で、ねらいに追る資料かどうか検討する時間を設けて毎時間の資料分析をし、研究を深めたり指導の技術向上に努めたりするようにした。これら資料分析したものを、資料活用保管ボックスに保管し、だれでもが活用できるようにした。
オ.自作ノートの活用と板書の工夫
生徒の道徳的価値を深めたり、道徳の時間の指導の効果や生徒の実態を知る手がかりを得るため、ノート指導を積極的に行った。また、価値の追求を行う時の手段としたり、興味、関心を失わずに授業に集中させたりするため色チョークの活用、文字や絵画カードの活用など板書の構造化を図った。
カ.授業研究による授業の充実
毎月一回の授業研究により、指導技術の向上と研究のねらいに追るための実践に取り組んだ。授業後は、研究協議会を開き、反省と研究の進め方を討議し、共通理解のもとに指導できるようにした。
摘花作業をする生徒たち
(2) 実践指導部
1) 研究のねらい
道徳の時間で培われた道徳的心情、判断力、実践意欲など道徳的実践力を基盤としながら、児童一人一人が、実際の生活で実践しようとすることが重要である。本校では、この道徳的実践力を行為にまで高めるため、日常活動や体験活動に重点をおいて指導を加えていくことにした。日常活動においては、学校生活全般にわたって道徳性を育成し、体験学習を通してより一層、確かなものとなることを目指した。
2)実践内容
ア 日常生活における道徳性の育成
日常生活における道徳性を育成するために、次の事項を実践した。
・ 基本的なことを身に付けさせるための『学習態度の基本十か条』の作成
・ 自己の反省や生徒の内面を知るための生活ノートの活用
・ 生徒の実態を把握するための『サポートカード』の活用
・ 発表力をつけるための、短学活時の一分間スピーチ
・ 主体的に取り組む生徒会活動の工夫
イ 道徳的体験活動の設定による道徳性の育成
創意の時間を利用して花壇の整備を行い、自主的に草むしりや散水などをし、秋には美しい花を咲かせ、県下花いっぱい運動に参加した。
また、親子共同作業で雪囲いなどをした。他にも、上級生と下級生のいたわりあいの心を育てるために、地区対抗の球技大会、駅伝大会等を実施した。この大会の後には、地区ごとに親子共同のいも煮会を実施するなど、親子の対話の機会を設定することに努めた。