教育福島0146号(1990年(H02)04月)-023page

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随想

日々の思い

 

南会津の自然、四季を感じながら

河原田三春

 

えのない本とは、何ですか」と尋ねられたら、私はすぐにこう答えるであろう。

 

「あなたにとって、かけがえのない本とは、何ですか」と尋ねられたら、私はすぐにこう答えるであろう。

「ヨハンナ・スピリ作『ハイジ』です」と。

大きな雪の野原にある山々が、初めは火に包まれているようだったのが、そのうちにバラ色になり、やがてにわかに青ざめて、とうとう消えてしまった牧場の夕暮れ。その光景に感動したハイジに、おじいさんは、その火の訳を次のように説明している。

「それはな、太陽がするのだよ。太陽は、山々に、おやすみを言うときには、またあしたくるまでに、忘れられないようにと思って、自分のいちばん美しい光を投げてやるのだ」

故椋鳩十氏と同様に、私も、この会話に何とも言えない美しさを感じた。そして、生活便利主義、自己中心主義などのため、自然や人の心がなおざりにされている今の日本社会に危倶を抱く私の心に、あの会話の美しさは、今も深く深く染みとおってくる。

自然と共存して生きるすばらしさ、純粋に生きるすばらしさを、私は、この一冊の本から感じ取った。また、それが、私のあこがれの生き方となったようである。

縁あって、昨年四月から、福岡県より福島県の教員となった。南会津ですごしたこの一年。振り返ってみると、自然の織りなす、鮮明な四季の移り変わりに、目を見張るばかりであった。

息吹きを膚で感じた新緑

一斉に咲き誇った野山の花々

日に日に鮮やかさを増した緑の山々

あこがれてた水芭蕉との対面

ニッコウキスゲの、一面オレンジ色のじゅうたん

山全体が燃えた紅葉

あっという間の裸の装い

見渡すかぎりの雪景色

真っ白いふとんをすっぽりかぶり、自然はみな冬眠

そして、そして、待ちに待った雪解け。白一色の雪の下から、顔をのぞかせた土を見て、心が躍った。春の訪れを、こんなに待ち遠しく、また、心から感じたのは、生まれて初めてのことだった。

私は、自然の鼓動が聞こえてきそうな南会津が大好きだ。このような、心から感じ、わき出るような思いを込めて、詩や曲を作り、子ども達と口ずさみたい。また、子ども達と共に、手作りの歌集を作って、歌ってゆきたいと夢がふくらんでくる。

これからも、南会津の自然、四季を体全体で感じながら、感性を育てる教育を大切にし、もっともっと精進してゆきたいと考える。

(田島町立針生小学校教諭)

 

私のサッカー人生

桜岡祐一

 

ようになって、もう十七年になりました。ちょうど三十歳の時の出会いでした。

 

私がサッカーを指導するようになって、もう十七年になりました。ちょうど三十歳の時の出会いでした。

前任校の小名浜第二中学校に赴任した時、サッカー部と陸上部を指導する先生がいませんでした。一緒に赴任した体育の先生と相談した結果、陸上競技は種目が多く専門的知識も必要ということで、私はサッカー部を担当することになりました。一年間の約束でした。私自身としては、それまで指導していたバレーボールを担当したかったのです。しかし、この時から、サッカーは私の人生から離れ難いものになってしまったのです。

二か月後のいわき市大会の時、県大会出場を決める試合で惜しくも敗れ、県大会への出場はできませんでした。

 

 

 


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