教育福島0146号(1990年(H02)04月)-039page

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持ったのはなぜか、貴族はどんな政治、くらしをしていたのか」という課題を設定し、道長の勢力、貴族の生活、平安文化などをとらえさせようとした。

○ 第一・二時 「課題づくり」と道長についての記者レポート

満月の歌や貴族の船遊びの絵から課題を設定した。課題は「道長ら貴族はどうしてこんなすごい歌を歌い、華やかな生活ができたのか」である。そして中心人物である道長について調べていこうということになった。そこで「道長とは一体何者か」をテーマとして記者レポートづくりに取り組んだ。

レポートの作成に当たっては、道長の家系図、平安時代の年間行事などのヒントカードなどを十分に活用させた。レポートをもとにした話し合いでは、道長の勢力の背景に迫る意見が数多く出された。

○ 第三・四時 グループ新聞作り

「では貴族はどんなくらしをしていたか」についてグループ新聞の作成、発表を行った。グループの編成は児童の興味・関心に応じたものとし、貴族の住まい、貴族の文学などの中から選択させた。また作成した新聞をわかりやすく説明できるように発表原稿を作成するようにさせてみた。各グループそれぞれがアイデアをしぼり、内容の充実した新聞の作成、発表を行い、平安文化の紹介をしていた。

○ 第五時 地方の人々のくらし

「地方の人々も道長のようなくらしをしていたのか」について追究し、武士の起こりについて吹き出しや道長ヘの手紙を書かせ、単元のまとめとした。

本単元の指導を通して、以下の特徴がとらえられた。

○基礎・基本の達成率は学級全体で八十パーセントであるが、下位群は四十パーセントが未達成であった。

○手紙などには、事象について幅広くとらえた記述が見られた。

○ ノート、レポート、新聞、話し合いに意欲的な取り組みが見られた。

○ ノート、レポート、新聞などに工夫が見られるなど個性的なまとめがされていた。

 

資料 指導計画「藤原道長と貴族のくらし」

五 研究の結果

 

五 研究の結果

 

わずか四単元の実践であり、結論とするには性急であるが、基礎・基本の達成状況、意識調査、各単元での学習状況から次のような結果がとらえられた。

(1) 人物を中心とした一小単元一サイクルの授業展開により児童の思考を連続的に発展させることができた。

(2) ふきだしノート、レポート、新聞などは基礎・基本の定着や一人一人の個性を生かすことに効果があった。

(3) 指導計画や指導過程に興味・関心、見方の違いによる選択の場を設けることにより、児童の学習意欲を高めることができた。

 

六 研究の反省と今後の課題

 

(1) 基礎・基本を能力目標として分析したが、達成のための手だてが固定化しないよう工夫していく。

(2) 単元の終末段階の活動が、その時間のまとめに終わってしまい、単元の学習事項を十分に生かすという姿があまり見られなかった。中心課題へのまとめにふさわしい活動・内容

 

 

 


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