教育福島0147号(1990年(H02)06月)-009page
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刑法犯全体の七十パーセントを占め、前年より九百八十七人(四・一パーセント)とやや減少した。(資料3参照)
○校内暴力は十二件発生し、前年に比べ二倍と増加し、減少傾向から一転し、増加のきざしが見られてきた。
○校内暴力の中で、教師に対する暴力は七件と(前年三件)増加している。
○シンナー等を乱用して補導された少年は前年より八十二人(三十三・六パーセント)減少している。
このような少年非行に対して適切な対応をするためには、学校生活を正常化させ、すべての児童生徒に存在感を与え、自己を発揮させる教育活動を行い、充実した学校生活を送らせることが必要である。
学校における生徒指導は、すべての児童生徒のそれぞれの人格のよりよい発達を目指すとともに、学校のすべての活動が児童生徒一人一人にとって自己実現を援助し、自己存在感を与えることを目指して推進されなければならない。
従って、このような積極的な生徒指導を学校生活のすべての場に十分作用させて、効果的に推進することがそのまま児童生徒の非行防止に効果を上げることになることを十分に認識する必要がある。
以下、生徒指導を効果的に進める上で重視すべき点について述べる。
一 生徒指導体制の確立
生徒指導は、学校の教育目標を達成するための重要な機能の一つであり、学校の教育活動のあらゆる場と機会を通して常に十分生かされるように努めなければならないものである。そのためには、自校の生徒指導の課題を的確にとらえ、全教職員一丸となった取り組みが必要である。
(一)生徒指導について教職員の共通理解を更に深めること。
○自校の生徒指導の課題を明確にし、全教職員で共通実践するとともに、生徒指導の課題解決のための実践事項を具体的に設定し共通実践ができる指導体制の確立を図る。
(二)生徒指導に関する全体計画や指導計画を整備し着実な実践に努める。
○生徒指導の計画が着実に実践されているかを常に診断し、児童生徒の変容をとらえながら、指導の充実に努める。
(三)生徒指導の機能的な組織づくりに努める。
○生徒指導が、具体的、効果的に行われるよう校務分掌の中に生徒指導の組織を位置付け、機能的で、しかも協力的な組織にする。
・学校の実態に応じ、運営に重点を置いた組織とする。
・全体が担っている役割と、それを分担する一つ一つの係の役割を明確にし、それぞれが責任をもって積極的に生徒指導の充実に努めることができるようにする。
○教職員全員が生徒指導の意義や方法を共通認識し、学校として一貫した指導方針のもとに計画的な情報交換や、研修ができるようにする。
二 児童生徒理解の深化
人間尊重の精神に立脚して個性重視の授業を展開するためには、児童生徒一人一人の特徴や傾向を把握する児童生徒理解が不可欠である。一人一人のどこを生かし、どこを伸長させたらよいか、どこに問題があるのかを把握して、どの場面や段階でどんな方法で指導することが最も効果的であるかを明確にすることが大切である。
児童生徒を深く理解するためには、検査・調査・記録・テストの結果などの有効な活用に努めるとともに、日常の観察結果をもとに教職員相互の情報交換を活発に行うことが望まれる。
○一人一人の能力・特徴・傾向を正しく理解するため、一時的な印象や直観的な先入観にとらわれることなく、多面的な理解に努めること。
○個人の理解とともに、集団としての雰囲気や士気の理解を深めること。
○理解に当たっては、計画的・継続的な配慮のもとに行うこと。
○担当学年のみならず、他学年の教師との情報交換も活発に行うこと。
○指導要録や個人指導(観察)記録などの資料は、常に活用できるよう整理保管の仕方を工夫すること。
三 生徒指導の機能を生かした授業の充実
生徒指導の究極の目標は、児童生徒をかけがえのない存在と考え、自己指導能力を育てることである。
そのためには、学校の教育活動のすべてにわたり、生徒指導の機能を十分に作用させることが必要である。
生徒指導の機能として主要なものは「児童生徒の自己決定の場を与えること」「児童生徒に自己存在感を与えること」「人間的ふれあいを基盤にすること」の三つである。
従って、児童生徒が、自分で考えて決めて実行するという自己決定、一人一人の児童生徒が独自な存在として認められることから生じる自己存在感、そして、互いに他の人の間違いを軽蔑することなく受容し合える人間的ふれあいを教育課程のすべての領域に機能させていくことが大切である。
中でも、教育課程の多くの部分を占める各教科の授業の中に、生徒指導の機能を積極的に作用させていくことが大切であり、自校の児童生徒の実態を踏まえ、生徒指導の機能を作用させる具体的な手だてを工夫していくことが望まれる。
○児童生徒一人一人が、学習に興味をもち、意欲的に取り組めるよう指導法を工夫すること。
・教師は綿密な教材研究と、一人一人の児童生徒の十分な理解に努める
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