教育福島0147号(1990年(H02)06月)-019page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

実現のための努力を挙げていることは注目に値する。本校卒業生は大部分が就職し、進学が少ないのが現状である。進学を希望しながらも、準備不足のために、やむを得ず就職する生徒もいる。今後は生徒の希望を早期に把握し、一人一人の適性を生かした進路指導の一層の充実が望まれる。

3 保護者、地域社会の意識調査

研究主題に沿って、生徒・保護者及び地域社会の実態や要望などを客観的に理解するために調査を実施した。(紙面の都合上、考察のみを略記する)

〈考察〉

1)生活面について

○家庭内では、ほとんどの生徒は家族とのあいさつ・手伝いをよく行い、保護者も食事をいっしょにとるように努めるなど、家庭との和を図るよう努力している。

〇一方、わが子とはほとんど会話をしない親、わが子の所持品・家庭学習に無関心であったり、外泊を安易に許し、子どもの言いなりになる保護者も若干見られた。このことが生徒の生活の乱れや、無気力につながる恐れがあるので、家庭と学校が十分な連絡を取り、生徒の指導をする必要がある。

○服装・頭髪・かばんの所持については、家庭・地域社会とも九割以上の人が良いと評価している反面、所持品については関心がなく、例えば、かばんに何も入れていない生徒もいることに気付かない。常に関心を持って生徒に声をかけ、正しい習慣を身に付けさせるため、家庭・地域社会と学校との連携が大切である。

○保護者は、生徒の生活指導にあまり、悩みや不安を抱いていないが、学校に委ね過ぎている面がある。学校と家庭の考え方にズレがあるようなので、今後、相互理解に努めるべきであろう。

2)学習面について

○保護者の不安・学校への要望は「学力向上」に集中しているが、これは家庭学習をしない者が七十五パーセントという事実から当然である。これに対し、アルバイトをしている者が三人に一人いるという実態は問題であり、学校での学習状況と関連して検討する必要がある。

3)マナーの面について

○本校生の中にも公共の場におけるマナーが身に付いていない者もいる。また、言葉づかいでは、地域社会からの「悪い」という声があることに留意すべきである。

○登下校時の交通マナーは、自分のみでなく他者の安全にもかかわることなので、さらに指導を徹底すべきであろう。本校生は、ルールを個人では理解しているが、集団になると守れない者が見られるので、意識と行動の一致について指導しなくてはならない。

○喫煙や異性との好ましくない交際については極めて事例は少ないが、家庭内での話し合いと、学校・家庭の緊密な連絡が必要と考えられる。

○バイク・自動車の免許取得について、二十三パーセントの保護者が法定年齢に達したら認めてほしいと考えている。生徒の二十六パーセントがバイク・自動車に強い関心を示している。免許無断取得や無免許運転をする者が皆無ではない現況下で、学校と保護者の見解にギャップがある。相互理解の一層の努力が必要である。

4)学校への要望について

○保護者と地域社会の要望順位

要望項目保護者地域社会
基礎学力の向上12
部活動の活発化21
進学指導の強化34
生徒指導の徹底63
就職指導の強化45
施設・設備の充実56

 

○今後は、地域社会の理解と協力を得ながら、学校と家庭の絆を更に太くし、基礎学力の向上、部活動の活発化並びに生徒指導について、もう一歩踏みこんだ指導を展開しなければならない。

 

六 実践活動

校則遵守の指導や非行防止の指導に終始することなく、個性が異なる一人一人の生徒の適応を図り、脱落させずに、それぞれの個性の伸長を図る中で自律性を育てようとする生徒指導の実践活動を報告する。

 

基本的生活習慣の育成と個別指導の徹底を図る。

 

(一)「服装・頭髪等の指導」

本校の生徒手帳に示される服装や頭髪の規定は、ごくありふれた、標準的な高校生としての姿を求めたものである。自律的な生活を堅持させるため、この規定を守らせる指導を展開している。

1)定例全校集会時の全体指導と個別指導

毎月一回行われる全校集会は、全体指導の絶好の機会である。各自、椅子を持参し体育館でクラスごと男女各一列に整列して集会がもたれる。その際に、話を聞く態度の指導も行われる。

ア、全校集会の持ち方

校長講話(賞状等の伝達)、各部長の話、校歌・応援歌斉唱の順で集会が終わり、続いて服装指導に入る。生徒は、男女それぞれ別の出入口から退場する際、男子生徒には男性教員が、女子生徒には女性教員が全員で指導にあたる。

イ、チェックを受けた生徒には改善するまで個別指導を徹底する。

このような、全職員による指導に

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。