教育福島0147号(1990年(H02)06月)-025page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

随想

日々の思い

 

地域に広がる保育をめざして

五十嵐近子

 

び出していった子どもたちからの、かわいらしい小さな春のプレゼントでした。

 

つくしの花束が届きました。今年の春の訪れは早く、暖かい陽光に誘われて園庭に飛び出していった子どもたちからの、かわいらしい小さな春のプレゼントでした。

会津高田町の西に位置し、南北に細長い広がりを持つ赤沢地区は、会津磐梯山を遠くに眺め、広大な会津平野を一望できる所にあります。赤沢幼稚園は、本町で唯一の公立幼稚園であり、三年保育を行っていることも特色の一つと言えます。

国の重要文化財をもつ雀林の法用寺と蓋沼森林公園の整備は、豊かな自然をより身近なものとして地域の活性化を図ってくれたようです。

この恵まれた自然を幼稚園教育に生かすことが本園の課題の一つでもあります。春から秋にかけて毎土曜日実施している「歩く日」は、地域の様子を自分の目で見、肌で感じ、自分の足で歩くもので、大きな成果をあげています。同時に、子どもたちの健康増進や安全指導にまでも成果をあげており、郷土愛につながる貴重な保育活動であると思っております。

過去に取り組んだ、地域環境を生かした研究や働く活動の研究、東北造形研究会、また、創立二十周年記念行事なども、幼稚園の歩みとして、継続した姿でそれぞれの足跡を残しています。

また、昔話や物語をテーマに取り入れる保育活動も大きな特徴の一つです。三年目を迎えた平成元年度は、「かにむかし」に取り組みました。

「先生、かにむかしのお話するね」「紙芝居を作ったの」といって小さな劇場の中で見せてくれた子どもたち。

運動会では、自分たちで作ったポスターで地域の中を賑わせ、全園児によるプロローグで幕をあけた「さるかに合戦の巻」。幼稚園の広場は、「さるかに」で沸きました。

おもちゃ祭りでは、おさるの電車も走りました。玄関先の木には、紙で作った渋柿や熟れた柿がつけられました。そのころには、「かにむかし」の話題が地域中に拡がり、あるお婆さんからは、腰かごいっぱいの甘柿をいただきました。

発表会では、「さるのばんばはすてきな広場の巻」で子どもたちの意欲的な姿をみることができました。

卒園時には、「かにむかし」の文集も出来上がり、アルバムと併せて一年間を振り返ることができました。すてきなドラマを繰りひろげた子どもたちの胸は、「かにむかし」の思い出にあふれていることでしょう。

幼き日の子どもたちに、美しい自然の姿を見せてやることが貴い宝物を贈ることだと信じています。新年度も、せっせと地域の野や山に連れ出し、本物の自然と触れ合う機会を作りながら子どもたちが主体的に取り組める保育活動を進めていきたいと思っております。(会津高田町立赤沢幼稚園教諭)

 

思うがままに

白井久志

 

く過ごしてきたことが、恥ずかしいやら申し訳ないやらで、心苦しい限りです。

 

昨年度永年勤続の表彰を受け、今までの三十年間、東奔西走何の実績もなく過ごしてきたことが、恥ずかしいやら申し訳ないやらで、心苦しい限りです。

しかし、修学旅行や部活で共に感涙感激したり、文化祭行事での製作作品完成時の感動や学習活動など、子どもたちと一緒に過ごすことができる環境にいられることに、幸せを感じているこのごろです。

現代の子どもたちは、価値観が多様化しており、不平不満や批判あるいは行動の過敏性と自己認識の不足が目立ちます。それは、青年期の特徴であって、逆に私ども教師に、きちんとした指導を求めているようにも感じられます。青年期の延長を考えた時、悩みや不安が存在し、なかなか難かしい時期にあるので、多様化を認めながら、あ

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。