教育福島0147号(1990年(H02)06月)-028page
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もわたって判定を下した生徒を追いかけ、ついに疲れ果てた生徒をつかまえ、セーフの判定を得ることに成功したのです。S・K先生は当時六十歳。「子どもには、妥協することなく厳しく接する時も必要だよ。しかし、いつも生徒とともに本気で楽しめる先生でなければいけないよ」が口癖でした。
二、K・S先生
水泳部の顧間を一年間いっしょに勤めさせていただき、中学校の部活動に対しての取り組み方を教えていただきました。当時水泳部は、五年連続地区大会優勝を続けていました。「秘訣は何ですか」とお聞きしたところ、「別に何もないですよ。私は水泳の専門家でもなければ、いっしょにプールに入る体力もない。ただ朝の練習でも放課後の練習でも、生徒よりも早くプールに行くことを心がけているだけです」とのことでした。K・S先生は当時六十歳、練習中でも大会でも、プールサイドでいちばん大きな声で生徒に向かって、「がんばれ!」「ファイト!」の声を掛けておられた先生です。
教職を退かれてからも、毎年水泳の大会があると、必ずプールサイドに顔を見せられ、生徒を激励してくださいました。
三、I・K先生
前任校に新採用として赴任した四月、まだ何もわからない私に、今でも常に自分の戒めとしている言葉を掛けていただきました。「教師は、自分の教科に対しては、誰にも負けないというプライドを持たなければならないよ。とにかく一年目は教材研究に力を入れなさい。授業の内容は、きちんとノートにまとめ、そのノートを見なくても板書ができるようにしなさい。こうして苦労したことは、何年たっても役に立つよ」I・K先生は当時五十七歳。昨年度で教員生活にピリオドを打たれました。長い間、御苦労様でした。私もこれらの教えを大切に頑張りたいと思います。
(都路村立都路第一中学校教諭)
触れ合いから思うこと
渡部毅
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「一番思い出になったのはカレー作リです。杉の葉を拾ってきて、マッチ一本で火をつけ、けむりが目にしみ、涙を流しながらみんなで作ったカレーライス。お母さんの味とちがった味でした」
これは、昨年度入所した小学校五年生の感想文の一部である。
自然との触れ合いを通し、寝食を共にした集団宿泊生活での体験、思い出を綴った手紙や文集が、会津少年自然の家へ寄せられてくる。
秀峰、会津磐梯山を仰ぎ、会津盆地を一望に見おろせる塔寺山に、会津少年自然の家が開所されて以来、今年度で十年目を迎えた。
自然の家の四季の移ろいの中で、目を輝かせ、歓声をあげ、共に汗を流し、体を鍛え合った子どもたちも、まもなく五十万人に達しようとしている。
最近の子どもは、社会生活環境の変化から、自然と触れ合う機会が少なくなっているし、遊ぶ場所、遊ぶ仲間、遊ぶ時間も少なくなっている。
更に、情報化社会、科学技術の発達により、雑誌、テレビ、ビデオ、テレビゲームが子どもたちの遊びになっている。従って、自己中心的な、個人志向型の子どもが増えてきている。
また、最近の子どもは、体格はよくなったが、体力、忍耐力に欠け、協調性、自主性、奉仕性、敬けんの念に欠けるといわれる。
このように、青少年の今日的状況を見る時、自然接触体験や生活体験を教育的、意図的に提供することが大切である。
今回の新学習指導要領では、「社会の変化に自ら対応できる心豊かな人間の育成を図ること」とし、自然との触れ合いや奉仕活動などの体験を通した学習が強調され、重視されていることから、「自然の家」の果たす役割は、今後ますます大きくなるものと思われる。
会津少年自然の家へ赴任して早くも一年余が過ぎた。学校での教育活動では見ることのできなかった、子どもたちの生きした姿を見ることができる。
山野を、息はずませ汗を流しながらかけめぐり、体を鍛え合う子どもたち。
自然の中に解放されて、水を得た魚のごとく、生き生きと歓声をあげる子どもたち。野山の草木、花、野鳥に共に語りかけ、その美しさに感動する子どもたち。満天の夜空を仰ぎながら、宇宙の神秘さを感じとる子どもたち。キャンプ・ファイヤーで真っ赤に燃えさかる炎を囲み、友情のきずなを強めあった子どもたち。初めてスキーをはきプルークボーゲンができるようになって感激した子どもたち。寝食を共にして、野外活動を通じ、規律、協同、友愛、奉仕の大切さを知った子どもたち。
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