教育福島0147号(1990年(H02)06月)-049page
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2)記録をとる意義
記録は子どもの現在の状況や教師の働きかけ、他に考えられる働きかけの可能性、子どものその時々の行動の移り変わりをとらえられるものでなければならないので、子どもの変化(状況の受け止め方)と教師の働きかけの関係を連続した形で分かるような記録が必要となる。そうすることによって、子どものみならず、教師としての子どもへのかかわり方がどうであったかを検討することができ、教師自身の資質の向上を図っていくことができる。
3)行動記録表(試案)の作成
子どもの行動と教師のかかわり方を省察するためには、子どもの状態を測るための基準となる尺度が必要となる。次はその尺度の条件となるものである。
ア、子どものすべての行動がカバーできること。子どもの障害の種類・程度、年齢、様々な活動などを越えて、一つの尽度で見ることができるもの。
イ、状況の変化へ子どもが対処している段階を、適切に判断できる尺度であること。つまり、子どもが置かれた状況の変化に積極的に対処しようとしている状態なのか、反対に、置かれた状況から逃避しようとしたり、どうしたらよいかと迷っている状態なのかが判断できるものであること。
ウ、子どもの行動の様子から、教師のかかわり方の適否をも判断する資料となり得ること。
このことを踏まえて、三段階五レベルの尺度(資料1)を設定し、教師のかかわりと子どもの行動を対比して記述し、子どもの行動のレベルが分かるような行動記録表の試案を作成した。
資料1 子どもの状態を測るための3段階5レベルの尺度
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4)VTR記録の有効性
子どもの行動を分析するためには、行動を詳細かつ正確に記録することが必要である。筆記のみや音声のみの記録では、行動の見落としが生じるおそれがある。また、実践の後の省察において子どもの行動のもつ意味を的確にとらえるためにも、繰り返し検討を加えることができるVTRによる記録が適している。
資料2・3はこのVTRを基にした行動記録表への記入手順と記入例である。
資料2 行動記録表への記入手順
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資料3 行動記録表の記入例
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四、第三年次の研究(平成二年度)
三年次である本年度は、この行動記録表(試案)の有効性や妥当性について更に検討を加え、そのうえで事例ヘの適用を数多く重ね、望ましい行動記録表を作成することによって心身に障害がある子どもの実態把握と指導援助に関するよりよい視点と方法が提示できるよう努力していくことにしている。
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