教育福島0148号(1990年(H02)07月)-025page
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充分すぎる程甘えてしまったわけだが、このような大役を与えて下さったことに対しておただ感謝するのみである。新任として相馬高校に着任してまだ数か月だが、充実感と満足感を感じる毎日である。
(県立相馬高等学校教諭)
自然の中で
佐藤敏正
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昨年の夏休みも終わりに近づいた暑い暑い日であった。
到着したばかりのバスの窓をはさみ、「こんにちは」
「こんにちは。早くバスから降りて来いよ」の呼びかけ合い。
東京の子ども達と桶売の子ども達との三回目の交歓会は、こんな挨拶から始まった。
明るく元気な子ども達の挨拶は、お互いの心を開き、すぐにうちとけて、あちらこちらに自然とグループができていった。
カブト虫とケン玉とを交換し、早速学区内にあるレクリェーション施設「鬼ケ城」の山里体験館で竹トンボ作りが始まうた。ナイフを使って竹を削ったり割ったりするが悪戦苦闘。手から血を流して困っている都会の子ども達への良き指導者は地元の子ども達である。
何といっても最高のイベントは、近くの沢に放流したイワナのつかみ捕りである。一斉に川に飛び込み、
「やったあ」
「やあ、逃がしてしまった」
「ぬるぬるして気持悪いよ」
と、あちこちから歓声が聞こえ、どの子ども達も全身ずぶぬれで魚と対決していた。
つかまえたイワナを炭火で塩焼きにして食べることにしたが、都会の子ども達にとって、丸ごと一匹の魚はなかなか抵抗があるようだった。いつも、骨を取り除いた切身のような魚を食べている生活経験からなのだろうか。やっとの思いで丸焼き魚をたいらげた後のあの満ち足りて嬉しげな顔。
自分の手で実物のキュウリ、インゲンを収獲した時の喜び、畑の中でぺろりとキュウリを食べた後の日の輝き、ひと仕事を終えた後に飲んだ井戸水の冷たさに喜びを隠し切れない表情、炭焼き用の釜の中に入った驚き…。教室の中では得られない生き生きとした活動体験が随所に見られ、特に、自然との触れ合いの少ない都会の子にとっては、何もかもが驚心と感激の連続であったようだ。
過疎化が進み、年々児童数も減少し、都会志向が強まる中心槍然の恵みに直接触れて喜ぶ都会の子ども達を目の辺りにした地元の子にとっても、この交歓会は、自然の美しさやありがたさを再認識するとともに、郷土を見直し、価値あるものとして見つめ直すよい機会であったと思う。こういうことでもなければ、子ども達自身、自然の中で生活できる素晴らしさを意識せずに大人になってしまうことだろう。
地域素材の教材化や体験を通した学習が重視されている今日、子ども達一人一人が地域の自然とのかかわりを身をもって体験できたことは、大変意義深いものであった。
ふるさとから学び、ふるさとへの働きかけを通して、ふるさとを愛する心と態度を培うことは、豊かな人間性を育てていくうえで大切なことであるとしみじみと感じたのである。
(いわき市立桶売小学校教頭)
「先生」と呼ばれて
大友香織
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「先生!!」
廊下に響いたその一言が、私のことを指しているのだとわかるまで一瞬の間がありました。三月まで学生だった私が、今、「先生」と呼ばれてるなんて不思議です。
四月に着任してから、職員室の自分の席に案内されたり一体育館で生徒と対面したり、担任するクラスの教室に自分の名札を見つけたりと、次々と教師であることを実感させられることが続いています。そして、二か月が過ぎました。授業をはじめ、学活、部活動、初任者研修など、目のまわる忙しい毎日です。経験不足に加え、指導技術のまずさからうまくいかないことも失敗することも度々です。
しかし、授業で、教えたい内容と生徒の興味が一致して、好奇心のあふれた生き生きした目や、理解して輝く顔
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