教育福島0148号(1990年(H02)07月)-027page
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お便りノート
荘原真理
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先日、たんすの整理をしていたら、幼稚園へ通っていた頃のお便りノートを見つけ、思わず赤面してしまった。
ある日のお便りノートには「月曜日開成山公園のバラ園へ、お散歩に誘ったのですが、真理ちゃんは『おともだちとお部屋を片付けるから行かない』と、とうとうお留守番をしてしまったんですよ」と、書かれていた。
小さい頃の私は、いわゆる、いじけっ子だった。母親の仕事の都合で誰よりも早く幼稚園に着いては、すぐおもらしをして先生の手を煩わせていたようである。好き嫌いも激しく、給食も食べなかった。何かあるとすぐメソメソ泣いてばかりいた。
しかし、新卒で私を担任なされたその先生は一度として私を叱りつけた事はなかった。いつでも、にこにこと笑っておられた。私の一挙一動が克明に書かれたお便りノートを見ながら、先生の子どもに対する深い情熱を感じとることができた。
でも、今の私は同じ先生という立場にありながら、子どもをどれくらい知っているだろうか。子どもにとってどんな先生であらねばならないのだろうか。
桜の咲く頃、毎年、新しい子どもたちが入園してくる。子どもはだれ一人として同じではないし、性格もさまざまである。ある子は家へ帰りたがって泣きながら担任を蹴とばす。元気がよすぎて思わず友だちをポカポカ…。
なかなかクラスに溶けこめず、何の遊びにも興味を示さない子もいる。でも最後には、どの子どもたちも「シェンシェ・アノネ…」とくる、子どもにとって先生は、いつだって正義の味方であり、安心して頼れる存在であらねばならないのであろう。
毎日、子どもたちに接していると「子どもは純粋だ」という場面にぶつかることがある。子どもは常に、頭にアンテナをつけて、新しい遊びを発見したり、楽しい物を探し出す名人である。草の葉の裏についている小さな泡一つも見逃さない。ピアノの音一つで、小鳥にもライオンにもなれる。不思議な事に対して素直に「せんせい、どうして?」と言えるし、美しい物をみた時「きれいだね!」と言える。
子どもの保育では、いろいろな困難にぶつかるが、これからも研修を重ね子どもの創造性を伸ばし、いつまでも美しい心を持ち続けるように育てていきたい。
そして、この子どもたちが大きくなってお便りノートを読み返えした時に「あの頃はあんなことをして遊んだっけ、楽しかったな」と、想い出し笑いをしてくれるような、あたたかい心の保育をしていきたいと思う。
(郡山市立喜久田幼稚園教諭)
心配ごとの解決を
鈴木典子
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「大きくなったら婦人警官になろう」
「弁護士に、いや医者になろう」
小学生の私の希望はいろいろだった。それが教師になり、子どもの心配ごとを解決しようと努力している。
児童も高学年になると、友達との関係で悩むことが多い。
去年の四月の家庭訪問。
「S男が友達の仲間に入れません」
母親が涙して訴える。また、ある家では、
「昨年登校拒否をしてから、算数が特に遅れています」
Y男の両親が不安そうだ。二人を毎日目で追いかけた。元気がない。S男に自信を持たせよう。
「かけ足が早いね。難問が解けたね」と、機会あるごとに誉め、友達に認めさせた。また、Y男には、
「最初から解けないのはあたりまえ。あわてずに授業中しっかり聞けば、卒業までにみんなに追い付くよ」
と、授業第一にし、気の合う友と遊ぶようにさせた。
室内で過ごすことが多い六月。
分校から編入した子が、絶えずけんかをした。本校に慣れるのに一学期かかった。今でも時々けんかをする。親身になって相談できる友が欲しい。
学習発表会の練習で忙しい十一月。N子の目がはれ、顔色がすぐれない。「先生、Nちゃんかわいそう。みんなに無視されている」
女の子が耳もとでささやく。その夜、「何を聞いても、学校へ行きたくない」
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