教育福島0148号(1990年(H02)07月)-048page

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図書館コーナー

雑誌 

−復刻版について−

−県立図書館−

 

今年も、恒例の夏の行事雑誌月間(七月二十一日〜八月二十日)を迎えます。雑誌は、新聞と書籍の中間に位置するものと言われ、電波と新聞に次いで欠くことのできないものです。

歴史をひもといてみると、我国最初の雑誌は、慶応三年(一八六七)十月柳河春三が、西洋事情紹介のために発刊した「西洋雑誌」だとされています。さらに明治維新を境として、相次いで新しい雑誌が現われ、やがて明治二十年代以後の商業出版による激しい競争の時代が始まり、今日まで一世紀余にわたって、総合雑誌、大衆雑誌、娯楽雑誌、婦人雑誌、文芸雑誌等々のさまざまな雑誌が刊行されてきました。

現在、日本雑誌総覧(出版ニュース社)によると、一般誌四千八百十七点、学術雑誌六千百六十点、官公庁誌二千五百二十七点、団体・協会誌四千四百三十三点、同人誌三千六百八十三点、PR誌・社内報千三百五十八点、総点数二万二千八百七十八点の雑誌が発行されています。この中には、明治・大正・昭和と、今なお多くの読者の支持を得ている伝統をもつ雑誌もあります。

県立図書館では、最新の情報を得るための各分野の雑誌はもちろんのこと、過去に、日本人の思想や芸術等をはぐくんできたさまざまな種類の雑誌の復刻版を、できるかぎり収集し、閲覧に供しております。現在刊行中のものはA書店等で直接手に触れることは多々あるでしょうが、過去に発行されたものは、なかなか目に触れることはないと思います。すぐれた雑誌は、いまなお人を引きこむ力を持っています。

よく読書論などで、本を読む姿勢として、三つのタイプがあげられます。

(一) 実利的な読み方

(二) 教養的な読み方

(三) 趣味娯楽的な読み方

このことは「雑誌」についても、そのまま当てはまるのではないでしょうか。

ぜひ来館され、文化の推移に触れてみてはいかがでしょう。

県立図書館で所蔵する復刻再現された雑誌、主に文学部門の一部を、以下に紹介します。

 

「アララギ」 短歌雑誌 明治四十一年十月〜 正岡子規の衣鉢を継ぐ根岸短歌会の歌詩として出発し、大正中期以降歌壇の主流雑誌となる

 

「荒地」 詩雑誌 第一次 昭和十四年三月〜十五年五月 第二次 昭和二十二年九月〜二三年六月 第一次は、昭和十四年、ヨーロッパにおける第二次世界大戦勃発、日本においては、ノモンハン事件勃発という臨戦態勢下に、早大在学中の鮎川信夫、森川義信らを中心として発刊、第二次は、昭和二十年十二月、敗戦直後、田村隆一を中心として創刊。

 

「おとぎの世界」 児童雑誌 大正八年四月〜十一年十月 「赤い鳥」の創刊によって、芸術的な童話・童謡の創作運動が作り出される契機となり「金の船」「童話」「こども雑誌」「ゴドモノクニ」などの類似の雑誌が数多く生まれた。「おとぎの世界」もそうした機運の中から生まれた。

 

「キンダーブック」 幼児雑誌 昭和二年十一月〜 我国最初の月刊保育絵本、保育現場に月刊絵本が教材として使用されるようになり、また絵本教材を幼稚園に直接販売する直販体制をつくるきっかけをつくった。

 

「心の花」 短歌雑誌 明治三十一年〜 歌人佐々木弘綱は竹柏園を号した。その子信綱もその名を襲い、明治二十九年機関誌として「いささ川」を発行、七号にして終わる。これを改題発行したのが「心の花」である。

 

「しからみ草紙」 文芸雑誌 明治二十二年十月〜二十七年八月 森鴎外が新文学の捉進を図るため発行

 

「新声」 総合雑誌 昭和二十年十一月〜二十三年十月 敗戦直後、いち早く創刊し、いわゆる大家を動員して、

 

文芸味の濃い編集

「青鞜」 女流文芸雑誌 明治四十四年九月〜大正五年二月 本誌の創刊者は、らいてふ平塚明子 発刊の辞「元始、女性は太陽であった」が注目を集めた。

 

「明星」文芸雑誌 明治三十三年四月〜四十一年十一月(第一次) 与謝野鉄幹が結成した東京新誌社の機関誌

 

「四次元」 宮沢賢治研究誌 昭和二十四年十月〜四十三年十一月 賢治についての作家・作品論、伝記等、佐藤寛編集

 

「スバル」 文芸雑誌 明治四十二年一月〜大正二年十二月 「明星」関係者が相寄り新たな意欲のもとに発刊した耽美派の文芸雑誌

 

「赤い鳥」「槐(えんじゅ)」「児童文学」「あふい」「明治大正文学研究」「文芸文化」「文学評論」「文学時標」「童話」「近代文学」「金の船」「金の星」「解釈」「仮面」「こおろ」「構想」「花月新誌」「女人芸術」「ナップ」「少年戦旗」「創造」「詩現実」「白樺」「戦旗」「番紅花(さふらん)」「早稲田文学」「詩歌」「やなぎ樽研究」「銅鑼」等々

 

 

 


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