教育福島0149号(1990年(H02)09月)-030page

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痛感していたからである。「自分でやっていけるのだろうか」「うまく教えられるのだろうか」「学級をまとめられるのだろうか」等々。

私が教師になろうと思ったのは、小学校時代であった。私が通っていた小学校は、とっても小さく、全校生が三十人程度で低・中・高の複式学級であった。同級生は四人と少なく、三人が男子、女子が私一人だった。そのため男子の遊びに入れてもらえなかったり意地悪されたりして、涙を流すことがたびたびであつた。そんなとき、担任の先生は私を励まし、遊んでくださった。私は、放課後、先生とお話しをするのが楽しみだった。人数が少なかったせいか、先生と触れ合う機会が多く先生がとても身近に感じられた。先生は、毎日、豆テストをしてくださった。できないときは、私達が納得するまで教えてくださった。私達は、先生の期待にこたえるため、真剣に取り組んだ。先生の一人一人を大切にする指導で私達は、毎日楽しい学校生活を過ごすことができた。

こんなことから、私は一人一人を大切にする教師になろうと思ったのである。

現在、私は、鏡石町立第二小学校に勤務している。二十四名の児童と一緒になって学習している。学習指導や生徒指導においても教師としても、まだまだ未熟な私であり、不安なこともたくさん抱えている。

しかし、いつも励ましてくれる先生方や「先生、先生」と慕ってくれる子どもたちに支えられながら、私は少しでも前進しようと努力している。分からない問題が解けて分かった時の子どもたちのあの笑顔。そんな輝いている笑顔を見ていると、「本当に教師になってよかった」「また、あの笑顔を見たいな」と新たな意欲がわき、それまでに抱いていた大きな不安が消え、自信に変わるような気がする。

今後は、先生方のご指導やご援助をいただきながら、不安を自信に変えていきたいと考えている。児童との触れ合いの機会を多くし、一人一人の児童を大切にしながら一歩でも一人前と言われる教師に近づくため、毎日の授業を大切にしていきたいと思う。

(鏡石町立第二小学校教諭)

 

ティー・タイム

県立図書館

もつひとつの顔

 

「図書館は何をするところ」と言えば、「本を貸してくれるところ」というのが一般的なイメージかと思いますが、県立図書館もその例外にもれず、来館した方が本を借りたり、読んだり、調べものをしたりするところであるわけですが、他の図書館と違って、もう一つの顔を持っています。

福島県には全部で九十の市町村がありますが、そのうち図書館を持っているところは十七市町村と、たいへん低い設置率になっています。そのため、図書館の無いところでは公民館がその役割を果たしているわけですが、資料的にも施設的にも十分といえるところは多くはありません。

県立図書館では、そうした町村が満足した図書活動を行えるように、読書相談などの他、本の貸出しを次のような形で行っています。

●移動図書あづま号

これは、バスに二千五百冊の本を積んで、図書館の無いところを年に二回巡回するものです。一回の巡回で、一町村当たり三百冊程度の本の貸出しを行います。貸出された本は、公民館の図書として住民の方に利用して頂くことになります。

移動図書館という名前が付いていますが、資料的に不足している町村への援助が目的ですので、個人や団体への直接の貸出しは行いません。

●親子読書文庫

本を読む、あるいは好きになるという習慣は、多感な子どもの時分に培われると言われています。そのため各町村でも、地域の集会場や幼稚園、一般家庭などに文庫を設け、「子供たちの身近に本を、親と子が一緒に本を読む時間を」の活動に努めています。

そこで県立図書館では、その一助にしてもらうことを目的に、一セット二百冊のモデル児童図書を作り、年に二〜三回の巡回で貸出し、交換しています。また、その運営相談にも応じています。

●市町村への貸出し

図書館の設置や、移転改築、あるいは移動図書館の運営など、大きな図書事業を始めるため、早急に大量の本を必要としている市町村に対して、一年の期間で、最大三千冊の本の貸出しに応じています。

※県立図書館を利用したことが無いとおっしゃる皆さんも、意外に、知らず知らずのうちに、県立図書館を利用しているかも知れません……。

 

 

 


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