教育福島0149号(1990年(H02)09月)-034page
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うとする意欲を育てるのに良い機会となっています。更に、中学部、高等部では、自分が将来どんな社会で、どのように生きていくべきかを考えさせるきっかけとして、職場見学や、先輩の話を開く会等を実施しています。
(三) 幼稚部における指導
聾学校幼稚部の教育は、幼稚部教育要領等の示すところに従い、健康、人間関係、環境、言葉、表現の五領域と心身の障害の状態の改善・克服に関する養護・訓練によって教育課程を編成し、三歳児から教育を行っています。
通常、親の付き添いを原則とし、子どもの見方、子どもとの関係づくりなどの外、補聴器の操作・管理、聴覚活用の仕方等についていっしょに指導を行っています。
聴覚障害児が自然なことばを習得するためには、話し手(話しことばでなくてもよい)と聞き手との間で、気持ちが通じ合う関係をつくることが大切になります。
したがって、幼稚部では、よい関係にある大人(教師、親)は、子どもが主体的・能動的に対象に向う活動を方向づけ、励ますように、表情や発語とそれに重ねて表す感情の色合い等で応ずることになります。それが、子どもののびのびした活動を強化、拡大していきます。このことを実現するために撃学校幼稚部では、子どもの自己選択と、実行をできるだけ尊重し、子どもが自主的、自発的に外界に働きかけていくよう環境構成や教師の役割を大切にした日々の実践を行っています。
二、精神薄弱養護学校における教育
県立西郷養護学校
(一) 精神薄弱養護学校の概要
本県には、精神薄弱者を教育する養護学校は、県立が本校七校、分校一校市立が三校、国立が一校の計十二校あります。平成二年五月一日現在で八百四十六名の児童生徒が学んでいます。
精神薄弱養護学校は、精神発達の遅れが重度もしくは中度、又は軽度であるが社会適応が特に乏しいものを対象として教育を行っています。
教育の目標は、一人一人の児童生徒の全人的発達を図り、その可能性を最大限に伸ばすことを一目指すという点では、基本的に、小学校、中学校及び高等学校と同じです。しかし、児童生徒の障害の特性により、身辺自立の技能や習慣を身につけさせるなどして、社会的適応性を伸ばし、社会に参加していくための知識、技能及び態度を養うことに重点を置いています。
精神薄弱児は、一般に抽象能力の発達が遅れているために、具体的な経験を通して指導する必要があります。このため、各教科、道徳、特別活動、養護・訓練の内容を合わせた指導(日常生活の指導、生活単元学習、作業学習など)が取り入れられています。
(二) 社会参加・自立を目指した指導
精神薄弱養護学校では、一人一人の児童生徒が可能な限り社会参加できるように、発達段階に応じて自立的な力を育てる指導が、計画的、継続的に行われています。
小学部では、健康な体づくり、日常生活に必要な基本的生活習慣の確立、日常生活に必要な言語の理解や表現など、更に、対人関係の形成や集団活動への参加意欲の向上など、社会自立の基盤になる態度形成の指導が中心になります。
中学部では、社会生活を送るうえで必要な言語の理解や表現、社会の仕組みやきまりへの理解、更には、作業学習を通して、働くことの意義や働く態度、喜びなどを身につけさせ、将来の職業生活へ発展させる指導が中心となります。
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集会委員会の自主的運営による全校集会
(三) 小学部における指導
精神薄弱の児童は、視覚、聴覚などの感覚は特に障害はないのですが、それを通じて脳に入った情報を分析したり総合したりする活動全般において困難を伴うことが多いのです。例えば、物や事象を認知すること、言語の受容や表出、考えたり、まとめたりすること、記憶などです。しかし、それは、発達そのものが望めないというのではなく、同年齢の健常児に比べると、発達のステップが非常に小さいということなのです。精神薄弱者を教育する養護学校では、どの子も人間としての発達のある段階にいるのだという見方に立ち、児童が教師の援助を受けながら成就感を味わい、様々な学習活動に関心を持ち、自主的、自発的に取り組む態度を育て、生活の拡張を図るための活動を促すよう指導を行っています。
1、基本的生活習慣の確立
自分の身のまわりのことを自分で処理できるようにすることは大切なことです。そのため、年齢や発達段階に応じて身辺自立を促す指導を行います。
例えば、食事指導の場合、スプーンが使えるようにするという指導を開始
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