教育福島0149号(1990年(H02)09月)-035page
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する前に、別の場面で、手で砂をすくったり、スプーンで水をすくったりすることはなかったか。もしあるとすれば、それらと食事との関係はどうなのかを考えてみる必要があります。そして、現時点における子どもの生活の実の姿と、そこから今伸びようとしている芽を見つけることが大切です。
2、日常生活に必要な能力の育成
大切なことは、今、その子が生活している姿、今できる行動です。スプーンが使えないからといって、そのことだけを直接取りあげることをやめ、目の前のやさしいことからはじめ、そこでのやりとりが非常に大切と考えます。
3、国語、算数などの基礎的な学習
日常生活に必要な言葉や数について親しみがでてくると、初歩的な学習が可能となります。絵本などを教師と一緒に見ることから簡単な読み書きまで、あるいは、形の弁別から初歩的な加減法の計算、時計や暦の読みなどまで、段階的に指導を行います。
4、音楽や図画工作、体育などの学習
音楽や初歩的な造形活動などにより表現や鑑賞の楽しさを知ること、いろいろな運動を通して健康の増進と体力の向上を図るなどの指導を行います。
このことは、楽しく明るい生活を営むうえで大切なことです。
5、いろいろな集団活動の学習
学校行事、クラブ活動、委員会活動など様々な集団での学習は、児童の社会性を育てるうえで重要です。校内だけでなく、地域の人々や小学校の児童との交流は、児童の経騒を広め、社会性を養い、好ましい人間関係を育てるうえで大切なことであり、学校や地域の実態に即して組まれています。
これらの活動のなかで道徳的心情や実践力も養われていきます。
三、肢体不自由養護学校における教育
県立平養護学校
(一) 肢体不自由養護学校の概要
昭和二十八年に平第四小学校の特殊学級として開設されたのが本校の前身で、昭和四十五年、平養護学校として独立して以来、肢体不自由児童生徒の社会参加・自立をめざして数多くの卒業生を社会に送り込んでいます。
肢体不自由養護学校は本校の外に本校の翠ケ丘分校、郡山養護学校があり身体の障害を改善、克服するために必要な知識や技能などを習得しています。
本校には現在、小・中学部及び高等部合わせて百五十九名が在籍しています。障害の状況は、脳性まひや骨形成不全などの占める割合が高く、近年障害の程度が重くなったり、障害が重複している児童生徒が増えてきています。
(二) 社会参加・自立をめざした学習
小・中学部、高等部とも小・中学校、高等学校と同様の教科等の内容を学習しています。能力的に各教科の学習が困難な場合には、いくつかの特例が設けられており、一人一人の実態に応じた学習を行っています。
中でも、各教科に比肩して大切なのが「養護・訓練」です。「養護・訓練」は、肢体不自由養護学校では特に、社会参加・自立を図る上で大きな役割を担っています。その内容は、運動や動作の基本の習得や改善に関することを中心として、健康や対人関係の改善、環境の認知、意思の伝達などを関連づけて調和的な発達の基盤を培うものを取り入れています。
卒業後は、企業であれ、施設であれ家庭であれ、地域社会の一員として生きてゆくことになるわけで、社会参加・自立のために「養護・訓練」は欠くことができないものです。
(三) 小・中学校及び高等学校との交流活動
小学部は、平成元年度、二年度〜文部省指定心身障害児理解推進校であるいわき市立平第四小学校の協力校として、内容、方法ともに充実した交流を行い、大きな成果をあげています。
また、中学部は、いわき市立大野中学校と、高等部は、県立好間高等学校との交流を計画しています。
これらの交流活動を通して、小・中学校及び高等学校の児童生徒と活動を共にし、仲間意識をはぐくむことができると同時に、養護学校の児童生徒は障害のない児童生徒との能力の違いを認めながらも「やればできる」という意欲を養うことができ、これは、社会参加、自立を図る上では大きな効果です。また、障害のない児童生徒にとっては障害児童生徒を直接的に理解する機会ともなり、心豊かな人間を育成することが期待できます。
(四) その他社会参加・自立を図るための配慮(中学部における実践例)
一人一人の能力に応じた指導による基礎学力の定着に努めることです。
通常の学級の卒業生は、ほぼ全員が高等部に進学し、高等部卒業後の進路は一般就労、専門学校進学、施設入所、在宅、継続療養等です。
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楽しい校外での学習
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