教育福島0149号(1990年(H02)09月)-036page

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また、年々障害が重複化し、学年単位の学習が極めて困難になっています。

こうした実態や進路の多様化の状況に対応するため、昨年度から学年の枠を越えてグループによる学習を行っています。二教科三グループから、今年度は、国、社、数、理、英の五教科で三グループ、また、教科によっては更に分けるなど、工夫や改善を加えています。

指導内容として、Aグループでは、できる限り学年相応の学習を取り入れ学力の向上を図っています。Bグループでは、実生活に結びつく基礎的基本的事項を取り入れ、生活自立の向上を目指した指導を行っています。Cグループでは、作業を多く取り入れ、目的を意識し、それに合った言動がとれる力の育成を図っています。

1 校外学習

社会経験や視野の拡大を図るために、全学級年二回、スクールバスにより、市内の美術館、文化センター、デパート、公園、清掃センター、職業安定所、駅等の見学学習を実施しています。

2 ケース会議

一人一人の障害の種類、程度を的確に把握するためのケース会議を定例化し、これをもとに「養護・訓練の時間における指導」のあり方について検討を加えるとともに、「養護・訓練に関する指導」においても、系統的、発展的な指導が行われるよう、ケース会議の充実を図っています。

 

四、病弱養護学校における教育

県立須賀川養護学校

 

(一) 病弱養護学校の概要

昭和三十三年国立福島療養所内に、須賀川市立第一小学校、第三中学校の養護学級が開設されました。そして、この養護学級を母体に昭和四十八年本校が開校しました。病弱者を教育する養護学校は、現在、本校、医大分校、郡山分校、会津養護学校竹田分校の四校が設置されています。

現在小・中・高(本校)訪問教育等で百四十名余りの児童生徒が治療と教育をうけています。

病類では開校当初には多かった結核、側湾症がほとんどなくなり、現在では喘息、腎疾患、心疾患が主なものになっていますが、医療技術の進歩に伴いこれらも減る傾向にあります。かわって重複した疾患をもつ児童生徒や不登校とよばれる集団への心理的不適応を示す児童生徒が増えてきています。特に後者は、平成元年十二月の調査で、本・分校合わせて、三十四パーセントの在籍率を占め、病弱養護学校の全国的傾向と同様大きな課題となっています。

 

(二) 社会参加・自立を目指した指導

1、重度・重複障害児の場合

感情の表出もなかなかとらえにくい者から、専ら関心のある対象にだけ接近していく者など、行動の表し方は多様です。そこでわずかな反応に対しても適時、適切な方法で応える研究を重ねながら、児童生徒の行動の意味を的確にとらえ、自主的、自発的に外界に向う力を育てるよう努めています。例えばボールなどを握って投げつける動きを生かし全介助による食事からスプーンを自分で握り一人で食べられるようにもっていく指導などです。

2 単一障害の病弱児の場合

学校の教育活動全体を通じて、児童生徒の健康状態の回復、改善及び障害を克服する意欲の向上や自己の健康を管理する能力の育成をねらいとして指導しています。また集団活動や直接経験などが不足する傾向にあるため、できるだけ集団活動を取り入れ、学校内外において様々な経験をするよう配慮しています。

教科指導の面でも、治療や生活規制等のため、授業時数の制約、学習空白、身体活動の制限などを伴いますが、それらを考慮して、指導内容の精選や指導方法の工夫をして教科指導の充実に努めています。また病状が重いなどのため学校に通学できない状態の児童生徒に対しては、教師が病棟に出向いて指導にあたり、できるだけ学習空白をなくすようにしています。

 

校外学習 −消防署見学−

 

校外学習 −消防署見学−

 

(三) 高等部における指導

昭和五十七年に開設され、平成元年度で六期目の卒業生を出しています。生徒は本校中学部と県内の中学校から県公立高等学校入学者選抜試験を受けて入ってきます。本年度の在籍数は一年から三年まで二十七名で、小、中学部の児童生徒と同様、学習空白、学習意欲の問題等を抱え学力差も大きい状態にあります。そこで教育課程(全日制、普通科に準じたもの)編成に当たっては、一人一人の基礎学力に重点をおき、生徒の進路に応じて学習できるように工夫しています。

二年次より商業科目を設け、三年次に商業、国語、英語から進路に応じ選択できるようにしています。実際の指導にあたっては、国語、数学、英語で

 

 

 


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