教育福島0149号(1990年(H02)09月)-044page

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養護教育センター通信

 

障害のある子どもの理解のために1

〜視覚障害〜

 

一、視覚障害とは

人間は環境に適応してよりよい生命活動を展開していくために、感覚器官を通して取り入れた情報を中枢神経で処理し、適切な反応を効果器官によって発現させる。(図1))

 

いのに、見えない、見えにくいという心理的盲といわれるものもでてきている。

 

視覚障害は、情報を取り入れる眼の部分、情報を伝達する視神経の部分、情報を処理する大脳視中枢などの視覚機構の一部に障害があり、視覚からの情報が全く取り入れられなかったり、不十分な情報しか取り入れられない状態をいう。この障害は、医学的に治療を受けても、なおかつ残ってしまったもので、永続的で矯正が困難なものである。このように視覚機構に何らかの障害があり、視覚からの情報の入力が困難な場合のほか、最近では視覚機構に何の障害も認められないのに、見えない、見えにくいという心理的盲といわれるものもでてきている。

 

二、視覚とは

一般に視覚障害児というと、視力が低い子どもと考えられがちである。しかし、視覚あるいは視機能には視力を含め、次のような働きがある。

(1) 視力 外界の物や形、事象を認知する形態党の鋭敏さを数値に表したもの。

(2) 光覚 光の強さ、すなわち明るい暗いを区別する働きで、網膜の杯状体がこの働きを行う。

(3) 色覚 色を感じる働きで、網膜の錐状体がこの働きを行う。錐状体は暗いところでは十分に機能しないため、色の区別がしにくくなる。

(4) 視野 眼球を動かさないで見える範囲のことで、障害のない場合にはかなり広い範囲が見える。明るさや色、動きによってこの範囲は変わる。

(5) 屈折と調節 外界からの光は、角膜と水晶体によって屈折し、網膜上に焦点が合う。水晶体の厚さを変えて、網膜上にピントを合わせる働きを調節という。また、網膜に届く光の量は虹彩によって調節される。

(6) その他 眼球を左右上下斜めに動かす眼球運動、左右の網膜に映った二つの像を中枢神経で一つにし、遠近感や立体感を得る両眼視なども視機能に含まれる。

このように、視覚にはいろいろな機能が含まれる。視覚障害とはこのような機能が障害のため十分な働きができない状態であり、視力以外の機能が十分でないと視力にも影響がある。

 

三、視覚障害の程度

一般に視覚障害の程度は、数値で表される視力によって分類されている。

(1) 盲 視力〇・〇二未満

(2) 準盲 視力〇・〇二〜〇・〇四未満

(3) 弱視 〇・〇四〜〇・三未満

弱視はさらに視力〇・〇四〜〇・一未満を強度弱視、〇・一〜〇・三未満を軽度弱視と分類することもある。

 

四、視覚障害と教育

 

四、視覚障害と教育

視覚に障害のある子どもは、教育上でも特別な配慮が必要になる。そのため「学校教育法施行令」や「文部省初等中等教育局長通達(三〇九号)」によって表1のように、視覚障害教育の対象になる児童生徒の教育的措置について示されている。

これによると、視覚障害児の教育の場は三つに分けられている。盲児と強度弱視児は盲学校、軽度弱視児は弱視特殊学級か配慮を受けて普通学級で学習することになる。しかし、指導の方法から分類すると盲教育と弱視教育の二つに分けることができる。

(1) 盲教育

盲児は視覚からの情報をほとんど得ることができない。一般に人間は外界からの情報を視覚で七〇〜八〇パーセ

 

 

 


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