教育福島0150号(1990年(H02)10月)-007page

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一般的な学び方とともに、学習者自身の主体的条件によって規定された個性的な学び方がある。教師は、その両方に注目して、学び方を研究し、子どもを指導する必要があるように思える。学習において、子どもたちが考えたり、想像したり、分からなくて困ったりすることは、子どもの顔がそれぞれ違うのと同様に、どれもこれも個性的である。学び方の指導にあっては、子どもの内面的過程の指導が重要であり、それこそ、実践的知恵として、教師が身につけるべき力量の一つであると思うものである。

ところで、「教え方がうまい」という言い方があるが、この評価は、教師の評価として総合的なものであって、指導技術に還元できない全人的なものである場合が多いように思える。教え方がうまいといわれる教師は、いずれも、子どもに興味をわかさせ、「やる気」を引き起こしながら学習指導を行っており、学習における子どもの内面的過程の指導には、教師の全人的なものが深くかかわっているものである。子どもの隠れた意欲を掘り起こし、学ぶ意欲を育てるために、教師は常に創意工夫と豊かな人間性を培うことが必要であると思うものである。

現代の子どもたちが、情報の洪水に流され、専ら受動的な情報の受け手になり、物事を深く追求しない傾向をもつことも否定できないことであり、そうであるからこそ、教師は、学力に「学ぶ意欲」、「学び方」、「学習到達度」の三層のあることに十分留意し、学習指導を行わなければならないと思うものである。また、学習指導には、教師の人間性、学識、自覚が複合的にかかわってくるということを認識し、教師は自ら職能成長のために努めなければならないことも確かなことと思える。

 

子どもたちには 正しい学び方の指導を

子どもたちには 正しい学び方の指導を

 

【筆者紹介】

津田俊晴・つだとしはる

昭和八年 伊達郡霊山町に生まれる

〃 三十年 福島大学学芸学部卒業

県立若松商業高等学校教諭

〃 四十八年 県教育センター指導主事

〃 五十四年 県教育庁総務課主任管理主事

〃 五十五年 県立坂下高等学校教頭

〃 五十七年 県教育庁高等学校教育課相双駐在管理主事

〃 五十九年 県教育庁総務課主幹

〃 六十一年 県立本宮高等学校長

平成元年 県教育センター所長

 

 

 


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