教育福島0150号(1990年(H02)10月)-008page

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特集1

学力向上を目指して

高等学校教育課

 

はじめに

 

今日、高等学校へは、中学校を卒業したほとんどすべての生徒が入学しており、このため、それぞれの学校で学ぶ生徒の能力・適性、興味・関心、進路希望等は多様なものとなっている。

これらの生徒を、実社会のなかで積極的に自己実現できるよう育成することは私たちの責務であるが、それを果たすためには、まず生徒の実態を正確にとらえ、それを踏まえて指導の方策を万全にすることによって、卒業までにすべての生徒に進路に応じた確かな学力を身に付けさせることが必要である。

このことは、平成元年三月告示された新学習指導要領において、自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の指導の徹底と、個性を生かす教育の充実をとおして、生徒一人一人が将来にわたり、自主的・実践的な活動ができるよう援助することを求めている趣旨にも沿うものと考えられる。

このことから、県教育委員会は平成元年度に学力向上対策会議を設置し、平成三年度までの三年間にわたり諸資料収集と分析をとおして本県高校生の学力の実態を把握し、労力向上を図るためには各教科、学科ごとにどのような点について指導法の改善・充実を図るべきかを検討していくことにした。

ここでは、平成元年度の研究結果について、その概要を述べることにする。

 

一 学力のとらえ方

 

(1) 学力をどうとらえたか

今後、社会の変化の速度が増すことを考えるとき、生徒が将来ともその変化に対応しつつ自己実現を図り、社会に有為な人間として活躍できるよう自己の進路について明確な意志を持たせるとともに、高校生活の全体をとおして進路に応じた確かな学力を身に付けさせることが必要であると考えられる。そのためにはまず、学力のとらえ方を明確に定義し、それに基づき生徒の学力の実態を把握し、併せて生徒の意識についても実態をとらえ考察するとともに、学力向上を図るために現在の指導の在り方について反省し、積極的に改善を進めるべき点について明らかにすることが必要であると判断した。

このことから本県としては、学力を「学力とは将来、生徒一人一人が社会において、自ら考え、自ら学び、社会の変化に応じてたくましく生き、社会に貢献することができるようになるための基礎となる力」と定義し、その構造や形成の過程及び意志とのかかわりについて明らかにし、これに基づいて学習指導法の改善を探ろうとしたものである。

 

 

 


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