教育福島0150号(1990年(H02)10月)-010page
力要素が複合した問題では、特に把握する力、創造する力、表現する力の不足が目立っている。普通科2)においては、小・中・学校で学ぶべき基礎・基本の未定着の生徒も見られる。学力要素が単一の問題の場合は別として、普通科1)と同様、学力要素が複合した場合に正答率が低下する傾向が強く、特に把握する力、創造する力、表現する力等の学力要素の伸長が望まれる。
次に普通科における生徒の意識については、一般的な傾向として、高校生活の大きな目的である「勉強」や「授業」に対して意欲が低い傾向にある。進学に対する目的意識が明確である生徒もいる反面、目的意識がやや希薄であり、自主性に欠ける傾向がみられる生徒も少なくない。
意識調査からは、普通科1)、普通科2)とも生徒によっては、テレビや趣味に費やす時間が多くなっており、読書、新聞を読む時間は極めて少ない。また、学習時間は普通科1)、普通科2)とも少なく、普通科1)では三時間以上である生徒は三十パーセントに満たず、普通科2)では一時間未満の生徒が七十五パーセントを占める。部活動については、普通科において活発とは言えない。したがって今後の対応としては、生徒を日常の学習活動に積極的に参加させることと、基礎・基本の十分な徹底が必要と考えられるが、具体的方策については「3」において教科ごとに述べることにする。
図2 学力形成の過程
(2) 職業科の実態
ここでは高等学校入学者選抜学力検査結果から見た実態について述べることにし、職業学科独自の各種検定結果や標準テストの結果等から見た各学科の実態についてはスペースの関係で省略する。
1) 農業科の学力検査の結果から見た実態
〈国 語〉
漢字の書き取り等の基礎的基本的な問題の正答率が県全体に比較し、約五十パーセント程度であり、基礎・基本となる学力に欠けるといえる。更に、複数の学力要素が必要とされる記述式問題では正答率が極端に低くなっている。したがって、農業科における国語科指導は、農業に関する専門用語の読み方、意味の理解ができるよう漢字力等の基礎的基本的な事項を確実に定着させるとともに、農業クラブ主催の意見・研究発表の原稿を作成することができるよう、論理的思考力や表現する力を養うような指導が望まれる。
〈社 会〉
小学校で履修した重要事項で単一学力要素のものについては、正答率が五十パーセントを超えている。しかし、判断する力、推論する力、表現する力等の複数の学力要素が必要な問題の正答率は十パーセントに満たない。したがって、農業科における社会科の指導は、社会の仕組みについて十分に理解させたうえで、社会経済と農業とのかかわりを身近な素材を教材化して論理的・総合的に把握させ、農業の分野における国際経済の動向や流通経済の進展に対応できる能力を養う指導が望まれる。
〈数 学〉
四則演算及び分類の単純な基本計算については六十パーセント以上の正答率である。しかしながら、推論する力、創造する力、表現する力等の学力要素が必要とされる応用問題の正答率は二十パーセント以下である。特に問題文が長く解答の過程が長くなるほど問題に取り組まない傾向が認められた。し