教育福島0150号(1990年(H02)10月)-016page

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学科の専門分野に関する基礎的・基本的な知識・技術について、実験・実習をとおして完全習得を図る。

エ.生徒自らが課題を設定し、課題を解決しながら学習していくプロジェクト学習法の各過程において、「把握する力」、「推論する力」、「表現する力」を養う必要がある。

8) 工 業

工業科では、基礎・基本の定着を図るとともに、特に「把握する力」、「推論する力」、「判断する力」の学力要素を補うことによって学力の向上を図る。

ア.基礎・基本の習熟を図る。

工業各分野における技術への興味・関心を高め、広い視野を養うとともに、工業の意義と役割について理解させ、基礎力の養成を図るために、共通履修科目の指導の重点化を図る。

イ.知識・技術の確実な定着を図る。

体験をとおして、工業の知識・技術を身に付けさせるため、座学と実習を関連付け融合一体化を図った効果的な授業の改善に努める。

ウ.個性の伸長を図る。

「課題研究」を教育課程の中に位置付け、問題解決能力等を養成する。

エ.実力養成を図る。

各種資格取得に必要な学習を継続的に取り入れ、進路希望の実現を図る。

9)商業

商業科においては、学力要素の中でも、特に、「把握する力」、「判断する力」、「推論する力」が不足しており、これらの学力要素を高めることは、学力の向上を目指すうえでは不可欠のものである。ここでは、これらの学力要素を高めるための改善の視点を示す。ア.個に応じた指導法を確立し、基礎・基本の完全習得を図る。

イ.各科目の学習内容及び到達目標の明確化と完全習得のための授業時間数の確保に努める。

ウ.実際的・体験的な学習の場面をより多く取り入れるとともに、特に問題解決能力を高めることに努める。

エ.学科の特性を生かした、各種の職業資格等の習得を奨励する。

教師は、これらの視点を踏まえ、各学校、生徒の実態を考慮し、生徒が主体的に取り組む体制を確立することが大切である。

10) 家 庭

家庭科においては、現在の生活を営む能力と将来の生活を創造していくために必要な基礎的事項・内容を理解させることが大切である。

「把握する力」、「判断する力」、「推論する力」、「創造する力」の要素を補うことにより、学力の向上が図られる。そのための改善の視点として、次のことを踏まえた指導及びその実践が望まれる。

ア.基礎的・基本的学力を身に付けさせる。

基礎科目である「家庭一般にで家庭生活」必要な知識と技術を精選し重点的に学ばせる。

イ.実験・実習等を意図的、計画的に実施する。

一斉、グループ、個別指導等の授業形態を土台に、演示、視聴、討論、劇化、実験、実習、調査研究など多様な指導法を取り入れる。

ウ.具体的な問題解決の学習を一層すすめる。

エ.進路希望に配慮し、具体的目標を見つけさせる。

資格取得や各種コンクール等に挑戦させ、成就感を得させる。

 

おわりに

 

「学力向上を目指して」のこの特集は、指導資料第二十八集「学力向上をめざす学習指導法の改善」の中から、「学力のとらえ方」や「学力向上を図るための改善の視点」等、主な項目について要約したものである。

したがって、語り尽くせないことも多いので、「指導資料第二十八集」を一読していただければ幸いである。

ともかく、把握する、創造する、表現するといったことをより良く行うためには生徒が自らの意志を持って行うことが肝要である。このことは学校教育活動の全体をとおして生徒に主体性を持たせる工夫をしながら、一時間、一時間の授業を深める努力が継続されて始めて可能になることであろうと考えられる。

各学校において、ここで述べたことを参考にされ、生徒の実態に応じて、学力の向上を目指し指導法の改善に取り組まれることを切に希望する。

 

〔本文中に掲載の写真について〕

本文中に使用した五枚の写真は、県立福島東高等学校が、徹底した自主学習をとおして自ら学ぶ意欲を育成することをねらいとして、今年の八月に実施した「サマーセミナー」(詳しくは、本誌四十二ページの「県立学校だより」に紹介)のスナップです。

 

 

 

 

 


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